ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男

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チャーチルの首相就任から「やっぱし俺らは戦うぞ」の演説に至るまでの日々の映画。バトル・オブ・ブリテンどころか、ダンケルク撤退成功の前夜ぐらいまでの話。

それなりに史実の流れは知っているつもりだけれど、それでも歴史のごく一部の切り取りに過ぎなくて、イギリス人であれば自分ごととして感慨に浸れる2時間は、日本人の僕では共感に没入することがむずかしい。基本的には暗い会議室でおじさんたちが論争してるだけの一本だしね。

市民たちと地下鉄で語らうシーンは、悪くはないのだが、今ふうにポリコレ・チューニングしたらこうなるだろうな、という取って付け感は否めない。はいはい明るく知的な黒人も入れましたね、という。世界にまたがる大英帝国の植民地と白人大好きのチャーチルさんがあんなコミュニケーションをするわけないではないか。チャーチルさんとヒトラーさんの違いは、立場やタイミングや程度や結果の違いに過ぎない。

この映画の見どころは、ゲイリー・オールドマンの怪演主演だろう。特殊メイクででっぷり巨漢に扮していることもあり、何度見ても「ほんとにゲイリー?」と思ってしまう。ダークナイトの署長さんやレオンのヤク中刑事の面影はまったくない。もちろん爆死もしない。ゲイリー・オールドマンという役者の演技を、抑制の効いた画や脚本で2時間味わえるのが、この映画の価値だろう。