アメリカで運転するときのDO/DON'T

久しぶりにUSで車を運転して、思い出したこといくつか。オープンにまとめとくと何かの折に便利なので。

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やりましょう

自信なかったら人の車についていこう

アメリカの交通は、そもそも日本やイギリス連邦と逆の右側通行です。日本人ドライバーがUSに来て、いきなり反対車線をぐいぐい走りだすことは流石にないと思いますが、数日ぐらい現地で運転して慣れてきたころ、左折の駆け引きのあと、いきなり左車線(つまり反対車線)に突っ込みそうになってヒヤリとしたりするかもしれません。道路の広さや車線の数も違うので、交差点から曲がってどこに進むべきかの感覚も結構違います。

このリスクを減らすには、なるべく前の車についていくこと、言い換えれば先頭にならないよう運転することです。

赤信号でも右折しよう

たまに「ダメ」と標識がでていない限り、赤信号でも右折できます。もちろん歩行者や他の車には注意しつつ右折します。「左からくる車に譲れ(YIELD)」という標識がしばしばありますが、もともと当たり前のことです。これは日本の「一時停止(STOP)」標識より実質的で、安全性でも優れています。

ライトは終日点灯しよう

カリフォルニア州のように、昼間だろうと運転中はヘッドライトを点灯していないとならない州もあります。そんな州でレンタカーを借りると、エンジンを掛けたとたんヘッドライトが点灯する仕様だったりします。ヘッドライトを消す機能がそもそも無い場合もあります。

他の州でもヘッドライト点けっぱなしにしておいて損はありません。ヘッドライトというものは、自車の接近を安全にアピールするための装置です。

前方の車の右左折予測感度を高めよう

自分の前を走る車が右折するか左折するか、前方100〜200メートル、ないしは数台ぶんは常に観察予測しながら、みなさん自動車を運転していると思います。

アメリカではこの予測感度をもっと上げます。なぜなら、日本より(東京より)思いつきですぐ右左折しようとする雑な車が多いこともありますが、後部ウインカーの色がオレンジでなく赤点滅の車が多く、日本人の感覚では気づきにくいからです。

割り込みたがっていたらちゃんと入れてあげよう

USに限らず当たり前です。意地を張って割り込み阻止しても、そのリスクテイクには意味がありません。遅そうな車だったら、入れてあげた後に追い抜けばいいだけです。

4方向一時停止では左に譲ろう、のんびり待とう

日本では、信号のない交差点では、必ずどちらかが優先道路です。優先でないほうの道路には赤い一時停止標識が立ちます。つまり常に主従が確定しています。(99%ぐらいの確率でそうだと思います。二十数年30万キロぐらい運転してますが、そうでない例を思い出せません)

USでは、主従関係のない、4方向全てが一時停止の交差点が結構あります。住宅地に入るとほとんどこれといった印象です。キメがなされていないので非常にやりづらいです。ルールがあるとすれば左に自分より先に車がいれば譲る、ですが、雑でぼんやりした車が多く、アイコンタクトも取りづらく、秒単位での把握判断行動のループがうまくまわりません。かなりストレスですが、もたもたしていても後ろから煽られることも特にありません。のんびり構えましょう。

駐車場では頭から入れて止めよう

駐車場で車を頭から入れて止めると、出るときバックで出ることになります。危ないし、転回しづらくて面倒です。なので日本では普通はお尻から入れることが多いと思いますが、USでは構わず頭から入れてしまいます。駐車スペースも通路も広いからバックでも出やすいし、そもそもほとんどの人が頭から突っ込んでいます。後述の「車内に荷物を残さない」ため、後ろのトランクを多用する使い方にも合っています。

日本風に丁寧にお尻から入れようとすると、「あのクルマ、何をやっているんだ…」とまわりに驚かれる感じです。「ワオ! あれ見て!」とinstagramされそうな勢いです。

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やめましょう

車内に荷物を残さない

ガラス越しに見える車内に荷物を残して車を離れるのは、車上荒しリスクを高めるだけという理由。そこまでシビアなものかなぁと楽天的な僕は思いますが、海外では楽さより安全を取ったほうがいいとは思います。車を乗り降りするたび、荷物は後ろのトランクに入れたり出したりします。

サンキューハザードはやめよう

そもそもサンキューハザードというものが日本国内だけの特殊な習慣です。ハザードはhazard (危険) というぐらいで、本来は、自分ないしは自分がいのいちに検知した危険状況を周囲に共有するための装置です。
「うわ、カーブ抜けたら路上どまんなかに人が寝てる! 避けないとみんな轢いちゃう!」
「俺の車たったいまブレーキが壊れた! 死ぬ!」
「同乗者にナイフを突きつけられた! 死ぬ!」
ぐらいの異常緊急時にのみ使いましょう。

左折待ちではハンドル切らない

左折待ちはみんな大人しいです。特に、交差点の左折待ちでハンドルを切ってじわじわ盗塁アピール的な挙動をするのは非常にマナーが悪いとされるようです。やってる人もいますが。

止まってるスクールバスは抜くな

映画によく出てくる、アメリカの黄色いスクールバス。児童の乗り降りのために停止してるときは、白とか黄色のランプがパカパカ光ってます。さらに、脇腹から真横に「通せんぼ」する棒が踏切のごとく出ることもあります。

このとき、何があろうと抜いてはいけません。脇を通りすぎてもいけません。慎重に確認しつつ徐行してもだめです。諦めて、全てが終わるまでじっと止まって待っていてください。

反対車線にいてもだめです。中央分離帯がなくてセンターラインだけの道路では、反対車線の車ですら、ずっと止まっていなければなりません。むちゃくちゃ安全側に倒したルールですが、かなり厳格に運用されています。破るとすぐ捕まるようです。

中央分離帯レーンは走らない

センターラインのかわりに、黄色の点線あたりで両側を引いた車線が中央に設けられている道路があります。ところどころに斜め矢印がペイントしてあったり。

これは、「双方向から共有してつかう左折レーン」です。信号がないところでの左折待ちは対向車が止むまで路上で止まって待つことになりますが、このためのバッファを双方向で分けあっています。止まって待つための車線ですから、ここをぐいぐい走行してはいけません。

優先レーンは走らない

都市部の高速などで、白地に黒い菱型(◇)が描かれた標識がしばしばあります。路面に菱型だけペイントされていることもあります。これらは、条件付きの優先レーンです。例えば「午前中の相乗り車のみ走行可能」とか。

菱型が描かれた車線を見かけたら、それは何らかの優先レーンであり、そこを走るための条件は標識で示されているはずなので、条件を把握し合致していない限り、そのレーンに入ってはいけません。

日本だと路面に書かれた菱型(◇)は「前方に横断歩道あり」ですが、日本以外では見たことないです。日本独自の表示かもしれません。

ほか

そもそもの話で、USの車はほぼすべて左ハンドルなわけですが、左ハンドル vs 右ハンドルの差異は、それほど気にしなくていいと思います。左側通行の国で右ハンドルに乗っている人なら、右側通行の国の左ハンドルには、割とすぐ慣れます。

むしろ、ウインカー操作が日本向け日本車と左右逆なことのほうがまごつくでしょう。
「ああ、なるほど右ハンと左ハンだと違うわけか」と思われがちですが、そうではなく、世界中ほぼすべての国で、右側通行だろうが左側通行だろうが、右ハンドルだろうが左ハンドルだろうが、ウインカー操作は左手側とISO規格で推奨されています。

日本車の国内向け生産区分だけ、産業としては生産物に、利用者としてはUIに、国際標準からのズレがあるわけです。私は右ハンドルと左ハンドル、それぞれMTもATも運転してきましたが、左ウインカーで特に問題ありません。自動車のUI/UXというものは非常に意見と思い入れが強い工業生産物ですが、未来のことを考えれば、メリットなき負債は是正してよいと思います。