当時はアナログ・レコードで買ったのだけれども。通して聴くのは十年ぶりぐらい。
おいみんな顔色わるいね!
当時「Techno Pop」というニューアルバムが出るんだよ、出るんだよと言われ、中学〜高校生だった僕は毎日(本当に毎日!)レコード屋に寄っては、ああ今日も Techno Pop出ていないなあという日々を送っていた。
結局、アルバム Techno Pop はお蔵入りになったらしく、代わりに? でたのが本作 Electric Cafe.なんか題名から忍び寄るだささを我慢しつつ、レコードに針を落としたが、それまでの、脳天からすべて世界が変わるような斬新さはもうそこにはなく。
だって、フツーの打ち込みですよ?サンプリングですよ?きっとMIDIですよ?
2曲め、そのボツになった亡きアルバムからの生き残りらしいTechno Pop という曲にさしかかり、イントロから初代ヤマハ DX-7 のストリングスがシュワシュワ聴こえてきて、ああもう僕の神は、僕の上位自我は終わったんだとレコードを叩き割りたくなった。(まだ若かった…)
いま聴くと、ミックスに参加している Francois Kevorkian (今の Francois K)はいい仕事してんじゃん、と思う。それに、前作 Computer World 以降、あまりに世界が Kraftwerk を目指し、追いつき、追い越し? てしまったのだ。たった4人(実質2人)ではなすすべもないという。
前作 Computer World 所収の Computer Love の正当な系譜というべき The Telephone Call なんか、やっぱりいいじゃないですか。せつなメロディや、ノコギリ波リードなど、待ってましたとレコードにお賽銭を投げたくなる。ヴォーカルもラルフじゃなくてなんとカールだし。シンセ・ベースのレゾナンス飛ばしなど、最後の最後までなかなかフィルタを開かず温存してさんざんリスナーをじらすところなど、まさに中年の技巧だ。
そこいくと、次の Sex Object など、ストリングスもギター音もDX-7だらけで(はい、私はDX-7大嫌いです)耳を覆いたくなる。
で、ラストのアルバムタイトル曲 Electric Cafe も、これどうみてもシングルB面とかの埋め草曲でしょ、というクォリティ。申し訳ないが、アルバムとしてはちょっとイマイチすぎる一枚なのだ。
ジャケットも結構しょうがないけど、CG担当したのはNYTだったりして、古いCG屋にはちょっとぐっとくるものがある。
クラフトワークはかれこれ結成40年。
テクノの歴史、いやロックの歴史、いや音楽の歴史の重要なひとつだし、いつの時代も、またあたらしい世代が聴きだしてゆく。
だから「エレクトリック・カフェからファンになりました〜♪」みたいな若い人もおおいわけなのだけど、個人的にはこういう人は心の友とは見なせないし、借金の連帯保証人などにも絶対ならないようにしているのだ。