Yü-Gung / Einstürzende Neubauten

Einstürzende Neubautenというとインダストリアル・ノイズの始祖のひとつ。

都心の男子校に通っていた僕は、他の学校の友達というと同じく都心の女子校ぐらいしかなくて。
都心の女子校に通う人というと当然サブカル指向も強いわけで、靖国神社に近い名門女子校の人たちから喫煙習慣を移されたり、東欧の民族音楽レコードやゲイ・カルチャーの写真集を共同購入したりなどして暮していた16歳だったのですが、当時あったアングラ系カルチャー雑誌、若干やおい風味、なものに月光(Luna)という本があってですね。シャロン・テイト殺しのルポルタージュとか民俗学の連載とかふんどし美少年の写真といったページをめくったむこうに、ある日紹介されていたのが、この、ベルリンの廃墟で火を焚いて、ハンマーやドラムやツルハシやベースやチェーンソーでパンクロックというかインダストリアル・ノイズをくりひろげるこの5人組だった。
もちろん日本でも、秋田昌美ひきいるメルツバウとかインダストリアル系の歴史がすでにちゃんと始まっていたわけですが、当時の僕はまだまだ不勉強だった。いまでもそうですが。

Strategies Against Architecture, Volume 1 (Strategein Gegen Architekturen) Einstürzende Neubauten(崩壊する新建築)で最初に買ったレコードがこのStrategies Against Architecture, Volume 1 (Strategein Gegen Architekturen)で、いきなり出だしの Tanz Devil でガツンとやられた。
インダストリアル・ノイズものを買うのははじめてで、もしかしてこういうモノだったらいいなー。と思っていた、まさにそういうものを、さらに期待をはるかに上回る良さでいきなり叩き付けられた。
38年いきてきたが、未知の音楽との出会いに勝負をかけたなかで、「ズバリ、これだよこれ! キター!!」と感激した体験としては、おそらくベストのものだ。
DRAWINGS OF PATIENT O.T.Drawings Of Patient O.T.(邦題「患者O.T.のスケッチ」)も本当に名盤だよ。万人におすすめは、決してできないけれど。

さて問題のYü-Gungは、アルバム(どのアルバムだったか忘れたけど)に収められているバージョンは、まあフツー。
ところがこの12インチシングルカットされた奴は、ONUレーベルを率いる暗黒リミックス帝王Adrian Sherwoodがリミックスしていて、 買って、まいった。死んだ。バックにはGareth Jonesもいる。のちに People Are People / Depeche Modeあたりも手がける、muteレーベルあたりでもよく見かける、インダストリアルからポップ・シーンをにらむ方向あたりでは最強のメンツだ。
当時のまだマトモだった Fool's Mate でこのシングルカットをみて、まだ当時できたばかりだった六本木 WAVE (何もかも懐かしい) に買いにいった。
この Adrian Sherwood の仕事は、明らかにサンプリングによる再構成という要素が強く、ナマのインダストリアルの魂からは外れているという非難があったとしたら、それはそれで正当かもしれない。でも、この、冷静で冷酷で冷たく、しかしじわじわと熱く狂気に突入していく、持続しつつも緊張をはらんだ構成、吠えるブリクサ・バーゲルトのヴォーカル、すべてが最高だ。耳や目から血が出るまで、いつまでも大音量で聴いていたい。僕は、この12インチシングルを出してくれたという一事だけで、WAVE や西武グループを100% 信頼している。(まあ、ちょっとだけならここはマジだ。)

この12インチも実家のどこかにあるのだけれど、アナログレコードを聴く装置などもう十数年前になくなっていて、と思ったらiTunes Music Storeにあって、というわけで興奮してこんなにだらだら文を書くことになった。
Industrial Revolution: Third Editionamazonにも同じコンピレアルバムがあった。
ちなみに当時の12インチシングルのジャケット。かっこいい。死ぬ。
さて、あと同じように、インダストリアル系ノイズ・ポップで耳から血が出るまで踊り狂いたい系だと、あとはS.P.Kの Metal Dance かな…
これも実家のどこかにいけば12インチビニールはきっとあるのだが…