セルラーの脚本家の前作。
いや、これは、面白い。画面に釘付けになる80分。
NYの街角の電話ボックス (Phone Booth)。そこにかかってきた電話を主人公がつい取ってしまうと、謎の電話の相手が伝えてくる内容は徐々に脅迫めいたものに変化して、電話を切ってボックスを出たらお前を殺す! そして確かに自分が、このニューヨークの雑踏のどこかから高性能ライフルで狙われていることもわかる。なんでいったいこんなことに、さて一体どうしたら。
長さは短めだがちょうどよいし、役者みなとてもよい。特に主演のコリン・ファレル。「マイノリティ・レポート」に出ていたときの印象が強かったが、この映画は彼の独演力によって骨組みができているわけで、それを実にみごとに果たしている。警部役のオッサンもとてもよい。ストーリーも、ひねってあるがひねりすぎない絶妙のバランス。
この映画は、LAの一角をNYにみせかけて、たったの10日間で撮影を完了したのだそうだ。その短時間でのやっつけで素晴らしい作品がこしらえられていること、またたった一個の電話ボックスを舞台にこんなに意外性と緊迫感と心理劇を創案できていること、これらはアイディアとセンスと技のみごとな合体で、この映画はすばらしいひとつの「Hack」だ、とも思う。とにかくおすすめ。
参考: 超映画批評「フォーン・ブース」90点(100点満点中)