ピエロがお前を嘲笑う

タイトルや導入部あたりまではあまり期待していなかったが、結構まとまりよく楽しめた。予算てんこもりのハリウッドのブロックバスター映画みたいな派手さはなく、画も役者たちも若干地味だが、これはこれでドイツ映画として愉しめばよい。これはマイケル・ベイ監督作品とかトム・クルーズ主演の一本ではない。 よわよわ感ある主人公、イケイケだったりアホタトゥーだったりする仲間、やや薄味ながらきちんと説得感と存在感ある捜査官のおばさん、全員がとってもドイツっぽい。ヒロイン役の女の子もごくフツーレベルのルックスで、収まりがよい。ここだけアン・ハサウェイみたいな美女が出てきてもリアリティ・ラインがブレてしまう。

ハッカー系の映画は、ときに荒唐無稽で非現実な展開のものがあったりするが、本作では、それなりにリアルな行動やコマンド類と、それを映画として分かりやすく見せることのバランスが結構よかった。ここも地味さが逆に高評価。

終盤の展開はネタバレ厳禁のたぐいだが、壁のポスターや、冒頭に出てくる小道具が伏線ヒントとして効いてくるあたりもなかなかいい。ラスト近くの角砂糖4個が実によかった。