自分の作曲上の好みをscore/arrangement/performance/lyricsで分析してみた

このtogetterまとめの

に感銘をうけた。年に一度ぐらい、好きなアルバムや曲の振り返りはしていたけど、楽曲をつくる者として、自分の好みをロジカルに分析してみようと試みた。

 

まずは評価対象とする候補曲をあげてみたが、いきなり300曲を超えてしまった。

さらに、まじめに各楽曲について、この部分のこれを… とコメンタリし始めていたが、数曲で音をあげてしまった。これは勤め人には大変すぎる。

そこで、少し簡略化して、以下の4つの視点でスコアリングしてみた。

score

楽曲の素晴らしさ。5点満点。

arrangement

編曲の素晴らしさ。リミックス、ダブなども含む。5点満点。

performance

演奏の素晴らしさ。ここでは歌唱や生演奏を意図している。5点満点。

lyrics

歌詞の素晴らしさ。インスト曲は点数なし。5点満点。

total point

上記score, arrangement, performance, lyricsの合計点に加え、5点満点の科目があった場合、該当する科目ごと1点ずつ加点している。AO入試のように、特定の魅力がずば抜けていることを評価しようとしている。

 

スコアリングしていくと、どの科目に加点すべきか迷うものもある。

lyricsは、あくまでも歌詞なので、楽曲とは独立している。そもそも楽曲であること、音楽であることと歌詞のある歌であることは独立だと思っている。歌イコール音楽という考え方も一定の価値はあると思うが、もっと俯瞰して捉えてもいいよねと思う。

performanceは、あくまでも歌唱や生演奏を評価している。音楽は生演奏ばかりではないと思っており、素晴らしい打ち込みも評価すべき素晴らしいものだが、あえてperformanceには入れていない。「素晴らしいアナログ・シーケンサのツマミさばき」といったものも、迷ったが、performanceには入れていない。たとえばTangerine DreamのRicochet Part Oneの中盤からのクリス・フランケの怒涛のMoog IIIがそれだ。

arrangementは、楽曲スコアがさらに素晴らしい編曲によって輝いている場合の加点だ。ただ、五線譜上の編曲にとどまらず、リミックスやダブも範疇としている。Mark StewartのHypnotised (アルバム最終曲のほうの) や、Einstürzende NeubautenのYü-Gung (Adrian Sherwood Mix) がその例だ。

ただ、例えばlooperを使ったパフォーマンスは、限りなくダブに近いと思うが、生の演奏テクニックの一種に捉えるべきだし、作曲時にダブやルーパーでの構成を最初から前提とし高い効果を上げている場合はscoreに加点していいのかもしれない。KT TunstallのBlack Horse & The Cherry Treeや坂本龍一のRiot in Lagosはこれにあたるだろう。

 

やってみた。こうなった。

 

 

振り返ってみて、あらためて自分の好みを感じられた。

score

  • 予定調和を気持ちよく裏切られる
  • イントロの拍子ずらし
  • 変拍子やはみだし小節
  • 分数コード展開
  • 和声の表現が、べったりした白玉弾きでなく各種の楽器や音色や時系列でばらされている。ミニマルやポリリズム。
  • 抑制でじらされる
  • 反復の彼方から気持ちいいものがせまる
  • リズム、ベースラインの美味しいツボの出現が抑えられている
  • メロディやベースライン、リフが下降して閉じる。これも一種の抑制。

arrangement

  • 典型に対しアイディアで立ち向かう姿勢がある
  • 新しいテクノロジが意欲的に使われている
  • ノイズ、メタルパーカッション、低いサンプルレートのジッタノイズ、ボーカルピッチ補正のケロりなど、不快を快に変貌させる過去に因われない試みがある

lyrics

  • キッチュな表現
  • 異常な心理
  • アニミズム
  • 負の表現
  • 歌詞のメッセージ性が抑制されている
  • ダブルミーニング
  • 母国語以外の言語
  • 言語フラグメントによる表現
  • 架空の言語 (あ、でも、Magmaをlyricsで加点してなかった…)