SXSW 2016に行くのをきっかけとして、いわゆるMacBookも仕事で使っている。
12インチの、薄くて小さくてUSB-C端子だけが付いているあれだ。
APPLE MacBook (1.1GHzデュアルコア Intel CoreMプロセッサ/12型/8GB/256GB/USB-C/ゴールド) MK4M2J/A
- 出版社/メーカー: アップル
- 発売日: 2015/04/11
- メディア: Personal Computers
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なかなか悪くはない。が、メインの生活の伴侶にはちと難しい。
(入れ替えのため、MacBook 12インチ, MacBook Pro 13インチ Retina, MacBook Pro 15インチ Retinaを重ねたところ)
いいところ
画面がきれい。擬似解像度1440x900で使ってますが、最近視力が落ちてきた僕でも鮮明で見やすい。本体スピーカーの音もいい。
軽くて小さい。普段使いのバッグにもすっと入る。
「パソコンを持って行くんだ」という意識なしでも持ち運べる。これはいい。
トラックパッド。例のtaptic engineによるクリック感の演出は本当にすごい。あのカチリ感は、本当に物理的に何かを押しこんでるようにしか感じられない。
許容できるところ
わかっちゃいるけど、入出力端子がUSB-C端子ひとつ (と、ヘッドフォン端子) しかない。
しかし、本体に通常のUSB端子だの、HDMI端子だの設けていたら、この小ささと薄さとバッテリ容量は確保できなかっただろうなあ。本体に端子を設けたら、その穴の部分だけじゃなく、その端子を受け入れる臓物部分も本体に収容するメカとして容積を食ってしまうわけだし。MacBookの設計者は、この薄くて小さい本体の内臓は、隅々までバッテリーで満たしたかったんだろうなあ。
アダプタ類はこのへんを手配して揃えた。VGA変換, HDMI変換アダプタはサードパーティー製のこれで全く申し分ない。あと実際にはVGAアダプタは一度も使っていない。さすがに今はもう2016年だった。世の中すべてHDMIになっていた。
Qtuo 2015新型Macbook対応 HDMI変換アダプタ USB 3.1 タイプC to HDMIアダプター Apple 12インチMacbook 対応
- 出版社/メーカー: Qtuo
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Qtuo メッキコネクタ タイプC Type-C USB 3.1 オス→VGA 1080P メス アダプター ケーブル 2015年新型12インチMacbook専用
- 出版社/メーカー: Qtuo
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この小型ハブはなかなか優れもので、小さいながら役立つ。
ただ、差し込んだときの確実感は割と控えめで、ぐらぐらする。
SDカードも先端の端子部分しか入らず、うっかりしているとすぐ抜けそう。
あと、使ってるとかなり熱くなる。
Satechi® 新12インチMacBook用 Type-C USB3.0 3in1 コンボハブ (Type-C 充電ポート付き) (スペースグレイ)
- 出版社/メーカー: Satechi
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いまいちなところ
片手で開けられない。一緒に暮らしてみると、結構感じるデメリットだ。
MacBook Air 11インチや13インチ, MacBook Pro 13〜15インチとかなら、閉じたところを片手で指でぱっと開けられる。そりゃそうだ。というか、いままで片手でぱっと開けられないノートPCというものはなかった。東芝Libretto 20ですら。
MacBook 12インチは、片手で開けられない。
開け口のところを指で引っ掛けても、本体があまりに軽いので、開くのではなく、MacBook全体が持ち上がってしまう。諦めて両手で開け口をつまんで開けることになる。
両手で開けりゃいいじゃないかって?
すでに両手はMacBookとiPhoneとコーヒーでふさがってるし、1秒でも早くぱっと開けて、打ち合わせなり何なり始めたいでしょ。MacBook 12インチはヒマな奴向けのものじゃないはずだ。
結構遅い。わかっちゃいたけど、Chromeでタブをいっぱい開いて、PhotoshopとIllustratorも同時に使うような生活のためのものではない。
かつ、使い込んでいると, /var/log/system.log にtemperatureが上がってきたので動作をボチボチにするねー といったログが出てくる。ちょっとGoogle Glassっぽいね。
キーボード。慣れが必要だ。
どの指がどのキーにどう載っているかの感覚がとても薄いからだと思う。
おそらく、常時ホームポジションに指が乗っているなら、さほどタイプに不便はない。ただ現実問題、カーソルキー操作やさまざまな要因で、指はしばしばホームポジションを離れる。そこからすっと指を戻すとき、指はおそらく無意識に、FキーとJキーにある突起や「キーの間の間隔、へこみ」を頼りにしている。
このMacBookは、キーとキーの間隔が極めて狭いうえに、キーの高さもほぼツライチといっていいぐらい低いので、ぶっちゃけ「キーの間の谷」が狭くて薄い。これが、ボディーブローで、ホームポジションへの指の復帰を頼りなくしており、ミスタイプを招く。つらい。
楽器で言うなら、フレット付きのギターやベースよりも、フレットレスのほうがはるかに難しいのではないか。バイオリンや三味線もそうだね。あるいは、明確な音階ボタンのある鍵盤楽器よりも空中の距離が音階となるテルミン。12インチMacBookでのタイピングは、ややそういったものに近い。キーとキーの間の明確な間隔は、タイピングにおいて結構ものを言うんだなと再認識した。
カーソルキーは、確かに上下が押しづらい。
左右キーを他のアルファベットキー同様に大きくしたせいで、カーソル上下キーへの手探り性が落ちたうえに、上に述べたようにキーボード全体が「フレットレス」に近いので、なおさら手探り性が悪化している。そもそもカーソルキーなんて、タイピングのホームポジションもへったくれもない邪悪なものだ。コンピュータのUIにおいて、カーソルキーはいまやマウスの次に邪悪なものじゃないだろうか。
といいつつ、MacBookのキーボードは、まだキーの数だけハードウェアが付いている。
タッチパッドが「動かない板+taptic engine」になったように、キーボードもいつかtaptic engineになるかもね。Appleはこんな特許もちゃっかり出しているし。