ギリシャのMarsheauxという、シンセポップの女性デュオのアルバム。
Depeche ModeのA Broken Frameをまるまるカバーした1枚です。
同好の士にはかなりおすすめ。
いま見たらリミックス盤も出てるんだなぁ。
元になったA Broken Frameは、Depeche Modeの2枚めのアルバム。
1枚めの曲のほとんどを書いていたVince Clarkeが「人前に出るのあんま好きじゃないしー」と脱退してしまい、それ以降のデペの音世界をほぼ一人で構築していくことになるMartin L. Goreが新たなソングライターとしてがんばって、一人減った3人で作ったアルバムです。
1枚めのバブルガムな脳天気さも少しは継承しつつ、基本的に青春のイタさ切なさ満点の1枚です。「青春」というワーディングだけでもう充分いたくてせつないんですが、バジルトン (ロンドンを東京に例えると、バジルトンは前橋あたりの感じですかね?) から出てきた、まだ二十歳そこそこぐらいの、エレポップシーンに登場したもののまだ垢抜けない、童貞かそうじゃないかぎりぎり微妙なぐらいの時節。音も、純粋エレポップからオルタナティブな世界に脱皮する直前で、これがまたいいです。エレポップ業界的には歴史に残る名盤だと思います。マーティンは黒歴史的に大っ嫌いらしいんですが。
と、そんな名アルバムを、レスペクト満点でまるごとカバーしてます。音は、しっかりした音圧などもありつつ、80年代の電気な仕上げへの眼差したっぷりです。
See Youだけ、ちょっとオモチャっぽくなっちゃったな… と思いますが、あのアイドル歌謡とタンジェリン・ドリームが合体したようなユニークな編曲は、いじったらもう壊れるしかないってジレンマでしょうか。
m1 Leave in Silence
m2 My Secret Garden
m3 Monument
m4 Nothing to Fear
m5 See You
m6 Satellite
m7 The Meaning of Love
m8 A Photograph of You
m9 Shouldn't Have Done That
m10 The Sun and the Rainfall
僕がMarsheauxを初めて聴いたのは6年前で、New OrderのRegretのゆるいカバーをしてる女の子たちがいるよ! という情報からです。
この人たちの選曲センスはまさに俺殺しで、Orchestral Manoeuvres in the Dark (OMD) の、いぶし銀の名曲She's Leavingのカバーとかも感涙ものです。音もPVも素晴らしいのですが、イントロが女の子のオナニーシーンから始まるので、適宜うまいこと聴いてください。女の子が過去を振り切って住みを出ていくストーリーと詩情のエッセンスとしては文学的で素敵なんですが、のっけからやらなくてもなぁ。まあ、うん。
ギリシャは、A Greek Tribute to Depeche Modeというデペのカバー・コンピレを出してしまう国でもあるようなので、EUももっと財政的に援助してやったらいいんじゃないかと思います。