The Dossier on Virna Lindt / Virna Lindt

Virna Lindtというスウェーデンのシンガーを知っているだろうか。ヴァーナ・リンド(リント)と書いちゃうことが多いようだけど、そもそもVirna Lindtについて日本語で言及してることがあまりないか。1980年代初期にアルバムを2枚ほど出した、当時二十歳ちょいぐらいの女性で、「北欧からやってきた謎のスパイ美少女」みたいなイメージで売り出されていた。

曲とプロデュースはCompactレーベル主宰のTot Taylorである。elレーベルにも通ずる、B級スパイ映画くさい、ちょいダサな小洒落さ。「北欧の渋谷系」と評していた人がいて、実にうまい表現だと思った。

そんな彼女は二枚だけアルバムを出して、あと西武系のWAVEレーベルが、事実上その二枚をCD一枚におさめたコンピレを出してくれている。それがThe Dossier on Virna Lindt / Virna Lindt.

その後は消息不明なのだが、万人にお勧めするとは言わないが、相手を選んでこいつは必聴中の必聴だといいたい一枚だ。

The Dossier On Virna Lindt

The Dossier On Virna Lindt

  • Virna Lindt
  • オルタナティブ
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

そんなところ、どうやら本人じゃなさそうだけど、Virna Lindt のトリビュートアカウントが myspace にできているのを発見。

Virna Lindt (Tribute) - MySpace

ここでは、'Shiver' には入ってないほうの、名曲中の名曲Wild Strawberriesを聴くことができる。曲と演奏は全部Totがやってたはず。

セツナ屈折系のガール・ポップの頂点のひとつを、ぜひ味わっていただきたい。ああ、こうなってくると、コシミハルとかミカドとかを聴きたくなってくるなぁ、そんな二月の夜。

ちなみに、Virna Lindtの読み方についてもう一度だけ蒸し返すと、というか 'Lindt' といったらリンツ・チョコレートのリンツだよね。

そう、彼女「ヴァーナ・リンツ」さんはリンツ・チョコレート創業家のお嬢様という説がありまして。ざっと年齢かぞえてみると今年で50ぐらいになってるかもなのだが、そんなわけで、マイナーめのアルバム二枚だけ出して消えた彼女のその後の生活については、そう心配はしなくてもよさそうなのだった。