造物主(ライフメーカー)の掟 / ジェイムズ・P・ホーガン

タイタンに地球の探査機が着陸成功したということで、ちょっとセンス・オブ・ワンダーを感じる。

ということで、土星の衛星タイタンというと僕が思い出すのがこの作品で、ちょうど先々週ぐらいに読み直したところだ。ホーガンというと、まるで「プロジェクトX」を淡々と観るようなハードSFっぷりがまず想起されるが、この作品は、科学がもたらす楽観的な素晴らしき未来というホーガンらしい主題は保ちつつ、「お話」っぽいエンターテイメント性も備えている。

異星文明がタイタンに落していった自律採鉱施設が勝手に進化して、無機と有機が逆転した生態系が生み出される、というイントロダクションが、いかにも「つくりもののお話」の良さがあって、SFっぽくてすばらしい。

ここにかかわってくる主人公が、手品を疑似科学にみせかけて、民衆とマスコミを読心術で食い者にしているカール・ザンベンドルフという男の一味。彼らは最初はインチキな悪者として登場するわけだが…ストーリーの面白さもなかなか。

ほどよいSFエンタテイメントとしておすすめ。