Thunder And Lightnings

http://www.thunder-and-lightnings.co.uk/

戦後英国軍用機サイト。入り口ページからしていきなりバッカニアですよ、ガネットですよ、ライトニングですよ、そしてヴァルカン、ヴィクター、ヴァリアントの「Vボマー三兄弟」ですよ。たまらん。

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なんで斜陽帝国の英国で、こんなでかいジェット爆撃機を3機種も運用してたんだヨいったい。というのもあるし、なんでいったいどいつもこいつもヘンな形なんだ。というのがまたたまらん。

Lightningなんて、なんでまたジェットエンジンを縦に2つ積むんだ。なんでそういう翼の形にするんだ。何で脚をそっち方面に折り畳んで収納しようと思ったんだ。そしたら主翼の下にはミサイルも爆弾も何もぶらさげられないじゃないかヨ。そしたらなんでまたミサイルを首根っこに装着するんだ、追加燃料タンクをよりにもよって主翼の上に付けなくたっていいじゃないかよ、あーあついに機銃付けるところもなくなって、腹の下に妊婦みたいにフェアリングをつける羽目になったヨ、と、ことごとくひねくれた設計・デザインで、ミグ21を秋刀魚にたとえると、ライトニングは子持ちシシャモだ。生理的な気持悪さが一定以上に達すると却って気持よい、というへんな魅力のヒコーキだ。

さらに泣けるのが、悲劇の名機TSR-2の写真もばんばん載っていることで、STOL性と、高空及び超音速低空侵入性能を兼ね備えた、この高性能にして野心的な美しいヒコーキが、ライバルメーカーと政治の癒着、そして労働党政権の台頭によって完膚なきまでにプロジェクトごと叩きつぶされる歴史もかいま見ることができる。僕はこれ世界でベスト3ぐらいに好きなヒコーキかもしれない。

"All modern aircraft have four dimensions: span, length, height and politics. TSR.2 simply got the first three right."
- Sir Sydney Camm

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それぞれのヒコーキの当時の公告も見ることができて、イングランドの香りが大変とてもよろしくて、しびれる。

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しかしつねづね思うのだが、イギリスのこのヘンな工業デザインテイストの歴史はいったい何なのだろう。渡辺和博画伯は「イギリス不気味デザイン」とブランディングされているが、自動車でいえばTVRなど、ほかにももっとマイナーなヘンなメーカーなど、自分たちで喜んで `Bizarreなデザイン' と言っているようだ。ヘンを尊ぶ血をもつ国民性なのだろうか。Morgan Aero8の寄り目ヘッドライトとか、明らかにちょっとおかしいもんね。

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