FILTER Volume.01 (シンコー・ミュージックMOOK)

発売前から事前予約してあったので、発売日にすぐ届いた。

十代からシンセいじってきた五十代の男にとっては、新発見のかたまり! という内容ではないが、いりいろ懐かしく、また温故知新的なところは愛おしく、とても楽しんだ。

FILTER Volume.01 (シンコー・ミュージックMOOK)

おかげで、久しぶりにBamboo Musicを聴いた。

情念のProphet 5が冴える名作だなあ。


 

M&A 失敗の本質 / 人見 健

M&AしてPMIを根気強く遂行して…

一般の暮らしでいうと、(打算的に?) 恋して結婚して、共同生活が始まって、よい未来を目指して一緒にがんばっていくつもりだったっけど、そもそも「よい」って何? 未来ってなに? そもそも未来への興味とか意味とかすら合ってるっけ俺たち? という根気強い流れ。

流れの中にいると忙殺され泳ぐことに精一杯で、原理原則やメタが頭からつい消えてしまうが、ひとつの見方に過ぎないかもしれないけど、ひとつこういう羅針盤に向き合うのも良いことだ。自宅で森をみながら、オフィスで富士山をみながら、合計3時間ほどで読了した。そのあと、再度咀嚼して、まわりの大中小を2時間ほどで整理できた。

238ページと大著ではないので、スッキリ読める。

M&A 失敗の本質

M&A 失敗の本質

  • 作者:人見 健
  • 発売日: 2021/03/03
  • メディア: Kindle版
 

スパイスカレーを作る - 自分好みのカレーが作れるメソッド&テクニック

各種スパイスで四川風麻婆豆腐つくるのが得意な息子さん。
スパイスカレーの本を買ってきた。

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これが無茶苦茶面白そう。
ぱっと作りたいというレシピ本ではなくて、基本要素の組み合わせと工程、そしてスパイスの組み合わせ爆発をどう泳いでいくかというロジックとメソッドの本。オライリーのような知的わくわくに加え、楽しんで書かれている素晴らしい筆致、エディトリアルデザインも大変素敵で心地よい。

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「ミニマル・チキンカレーを作ろう」は、つまりHello, Worldだね!

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読んでいると、アナログシンセの音作りやエフェクターの組み合わせに似た楽しげを感じて、プログラミング-作曲-編曲-料理あたりは頭のなかではつながっていることだと改めておもう。最近仕事でちょっとハーブなどに関わっていることもある。

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ぐっとくるページをいくつか紹介しようと思ったが、うっかりすると全ページ見せてしまいそうなのでこれはと思ったら一冊かっちゃえ。

スハ?イスカレーを作る-自分好みのカレーが作れるメソッド&テクニック-

スハ?イスカレーを作る-自分好みのカレーが作れるメソッド&テクニック-

 

 

9割がバイトでも最高の感動が生まれる ディズニーのホスピタリティ / 福島文二郎

いわゆる「ディズニーのバイト本」。いっぱい売れて、読まれたおかげでアンチもいるが、この本は、これはこれでいいのでは。

ただ、ホスピタリティって極論すると「育ちの問題」なので、ある一定以上素質がある人にはいいが、そうでもない場合は難しいよね。

9割がバイトでも最高の感動が生まれる ディズニーのホスピタリティ 9割がバイトでもディズニーシリーズ (中経出版)

9割がバイトでも最高の感動が生まれる ディズニーのホスピタリティ 9割がバイトでもディズニーシリーズ (中経出版)

 

 

あなたのチームは、機能してますか? / パトリック・レンシオーニ, 伊豆原 弓

西海岸のとあるITベンチャーの経営陣たちがどうもうまくまとまっていない。そんなところに着任した、経験豊かなCEO。彼女はチームをどうまとめていくか。そんなフィクションと、まとめの最終章から成る一冊。 

あなたのチームは、機能してますか?

あなたのチームは、機能してますか?

 

 紆余曲折やカタルシスもあるビジネス・ストーリーとして大変読みやすく、あっという間に読めてしまう。どうしても時間がない場合は最後の章だけ読むのもいいだろう。個人的にはこのへんがなるほどポイント。

  • (マネジメントは) なるべく良いチームを作ることが仕事。個人個人のスポーツキャリアを世話することじゃない
  • 人を育てるのも大事だが、人を入れ替える、人を切るのも大事
  • チームワークというとスポーツが出てくる理由は、得点。つまりKPI/KGIを持つチームワークだから。
  • 政治的とは、自分が本当にどう考えるかではなく、他の人にどう反応して欲しいかによって、言葉や行動を選ぶこと

とはいえ、雇用も転職も、なんといっても馘首にも自由度がある米国でのお話であること。次に、チームビルディングする対象が経営陣たちであること。つまり、良くも悪くもある程度の質を持っている人たちを部下に構えたケース。ここは割り引いて読まないといけないね。

この本にある「機能不全のモデル」の分解。

  • 1. 信頼の欠如
    • 病状: 完全無欠であろうとする。弱みや間違いを見せようとしない
    • 弱みを見せられる信頼は簡単には築けない
    • どうするか
      • 個人のプロファイルについて語る。兄弟姉妹の人数、出身、子供時代の習い事、趣味、最初の仕事、これまでの最悪の仕事
      • チームの有効性に関する演習。ひとりずつ、最もチームに貢献している点、チームのために改善したり抑えたほうがいい点を1つずつあげる。
      • マイヤーズ・ブリッグズ性格類型指標(MBTI): おれは ENTP (外向-直観-思考-知覚的態度) らしいんだよねー
      • 360度評価: 実際の評価や報酬と切り離さないとアブナイ。うんうん。
      • リーダーの役割は率先して弱みを見せること。弱さが罰されない(信頼が失われない)チームを作ること。弱さを演出しないこと。
  • 2. 衝突への恐怖
    • 病状: 表面的な調和。腹を割れない。曖昧な話、慎重な発言が多くなる。
    • 前向きな衝突は常に必要。時間の節約でもある。
    • 意見の相違に客観的に光を当てる。意見の衝突は大事なことなのだと念を押す。
    • トーマス・キルマン衝突モデル法(TKI): 調和的で平穏な協力的集団は停滞しがちであるので、効果的にコンフリクトを起こす必要がある
  • 3. 責任感の不足
    • 病状: あいまいな態度。決定を支持できない。責任感を持てない。
    • 全員一致は求めない。確実性も求めない。
    • 全員の意見をきちんと考慮し検討することで、合意は無くとも支持が得られる。
    • カスケード式伝達: 決定事項を最後に見直し、何を伝えるかを決める。
    • 期限を決める。中間決定の期限も決める。その決定の結果の最悪ケースをまず明確にする。そうすれば決定の間違いも怖くなくなる。
    • リーダーは、議論を促し、スケジュールを守らせ、決定が間違っていても動じないこと。
  • 4. 説明責任の回避
    • 病状: 基準の低さ。行動や態度を咎められない。
    • 目標と基準を公表する
    • 簡単な定期進捗レビュー
  • 5. 結果への無関心
    • 病状: 地位や自尊心や自分の部署を優先してしまう。

すぐ読めておすすめの一冊。

なぜ、この人と話をすると楽になるのか / 吉田 尚記

Kindle Unlimitedにあったので読んでみた本。

著者はニッポン放送のアナウンサーらしい。ご自身いわくコミュ障だった自分が、それを克服してトーク上手で食っていけるに至ったノウハウをトーク的に書き下ろしたもの。実際これはニコ生の書きおろしらしい。

自分も人見知り出身だが、この本の内容はごくごく基礎的なもので、ぱらぱらスキップしていったら10分ほどで完了してしまった。こんな風に、テレビのザッピングのように書籍に触れられるのもKindle Unlimitedの読み放題のメリットだ。

なぜ、この人と話をすると楽になるのか

なぜ、この人と話をすると楽になるのか

 

世界をひとりで歩いてみた / 眞鍋かをり

Kindle Unlimitedサービスが始まったので、いくつか選んで読んでみた本のひとつ。

眞鍋かをりという、明るく芯の強いおねーさんが思いつきで世界あれこれ行ってみた体験記。さっとすっきり読めて、何も残らない(エンタメとして重要)、まさにKindle Unlimitedにぴったりの一冊。

世界をひとりで歩いてみた

世界をひとりで歩いてみた

 

星を継ぐもの / ジェイムズ・P・ホーガン

Kindle Unlimitedサービスが始まったとき、それを紹介する記事の中で「目玉コンテンツ」扱いで紹介されていた一作。もちろん僕も持っていて自宅に帰れば読めるが、何も考えずクリックして、一気に読破。

何回読んでも、何回読んでも、おもしろい。驚くべき発見があり、その謎解きに多くの人が取り組み、迷い、それを解きほぐしていく。ハードSFの金字塔であり、これもまた、群像プロジェクトX的なエンターテインメントだ。ラストシーンの感動たるや、いまだにこれを超えるものにはそう出会えていない。

シン・ゴジラを観て、恋愛だのワーだのキャーだのに依存しないドラマに目覚めた人にはぜひ一読をお勧めする。あなたの豊かな人生のための、必読ベスト5ぐらいには入る名作だ。

星を継ぐもの (創元SF文庫)

星を継ぐもの (創元SF文庫)

 

バイコヌール宇宙基地の廃墟 / ラルフ・ミレーブズ

バイコヌールといえば、ソ連・ロシアの宇宙開発の中枢。
アメリカでいえばヒューストン宇宙基地みたいなもの。

が、いまや朽ち果てて、同じく志半ばでソ連崩壊も伴って頓挫した (とはいえ無人飛行でなら一応宇宙には出て戻ってきている) ソ連版スペースシャトル ブランの躯体を納め、静かに眠っている。

そんなバイコヌール宇宙基地を写真でルポルタージュした一冊。

僕はKindle版を特売300円セールの時に買ったので、大変オトクに購入できた。
とはいえ、これは「写真集」なので、大判の紙の本で鑑賞したほうが明らかにいいものだった。

試作機、ロシア、ソ連、廃墟、といった辺りが好きな方にはおすすめ。

バイコヌール宇宙基地の廃墟

バイコヌール宇宙基地の廃墟

 

わたし、男子校出身です。/ 椿姫 彩菜

椿姫 彩菜の自伝的なやーつ。
彼女が書いている「男子校」は、僕が小中高と12年通った学校だ。つまりこの人は僕の学校の後輩。

子どものころから心と体の性の不一致に苦しんでいた彼女は、この男子校では理解ある仲間に恵まれて… というあらすじは以前から(リアルにも)聞いていた。
あの学校がいちばん理解者に恵まれていて幸せだったという話は、卒業生の一人として「まぁ、そうだろうなぁ…」と思うし、同輩みな同様の感想だ。いまでこそLGBTとかダイバーシティというキーワードで採り上げられるようになってきたものごとは、自由なあの学校に通った仲間なら「いまさら」すぎる体感だし、わざわざ課題として扱わなければならない現状は、都会育ちの人間にとっての部落差別云々同様、ダサすぎる。

ただ、暁星を出て大学に入ったら差別に直面して辛かった、という話は、実際に読んでみると、大学(青学)が差別的でダサいというより、男子校から初めてリアル女子たちが息づくコミュニティに入ってみて、リアルは想定外にリアルだった、という感じのことであった。とはいえ、ダイバーシティの薄い人間クラスタに一定のダサさがあるのは間違いない。

彼女は学業でも優等生だったと聞いていたが、本の文章は割とアメブロ的だった。ここはTPOというやつかもしれない。でも、冒頭、さまざまなこれまでの軋轢を乗り越えて、「ママ」に「女の子としての名前をください」と訴える話は、深く重みがある。

 

このひとのことを思い出して本を読んだきっかけ。

話の舞台の一部でもあり、母校でもある九段の暁星学園では、昨年に歴史ある講堂の取り壊し記念式典があって、僕のところにも案内状が来ていた。(よりによってFBMと同じ日程だったので行けなかった。フランス文化の色濃い暁星のOBを集めるイベントがFrench Blue Meetingと重なるのはちょっと避けてみてもいいんじゃないかとは思った)

案内状には「私と音楽」「私と映画」「私と歌舞伎」「私とコメディ」みたいな各種テーマで、各界卒業生たちの講演予定が並んでいたのだが、たしか最後の講演が「私と暁星」で、それが椿姫彩菜のトークになっていた。

創立以来128年の男子校の、78年の歴史を持つ講堂の記念式典というオフィシャルな催しで、締めのトリに彼女をきちんともってくる母校とOBたちの懐というか心意気に、あぁ、僕はいい学校を出たんだなぁと改めて感激した。

なんといっても、男子校の式典において、彼女は紅一点だしね。

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わたし、男子校出身です。

わたし、男子校出身です。

 
わたし、男子校出身です。Comic (本当の声。Bookmark!)

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