ピアニスト

良かった。

痛い。せつない。
「せつない」という言葉がぴったりくるほどは感情移入してないけど、母親による過干渉、それによる性格と人生と性癖の歪み、共依存、そしてラストシーンで自らナイフで突いた、ちょうどハートのマークにも似た血の染みとともに、あなたたちと同じ環境も行き方も感覚も感情も要らない、とばかりに演奏会場をあとにしていく彼女を見るに、感情移入ありきの映画ではないと思う。淡々と観察し、モノノアハレを感じればよい。

切って落とす前のラストシーン含めての画の美しさも素晴らしい。
老い、拒絶、逃げ、性欲などいろんな表情を見え隠れさせていくイザベル・ユペールの主演すばらしい。

ミヒャエル・ハネケ監督の映画だと気負わずとも普通に見れますよ。

ピアニスト (字幕版)

ピアニスト (字幕版)

 

のど自慢

以前ライムスター宇多丸が絶賛していたので、いつか見ようと思っていた一本。

ヒューマンコメディ。片田舎の町にNHKのど自慢がやってくる。その予選大会、そして本戦つまりテレビ生中継。町の誰もがのど自慢を意識し、夢中。

そしてたまたま、その町出身の、いまや売れない演歌歌手の女もドサ回りのからみでやってくる。温泉旅館のディナーショーの酔客ばかりを相手にする毎日に、現実に苦しみ未来を不安がり、自信も失いつつある彼女は、ひょんなことから、他人名義でなら「のど自慢」予選に出られるチャンスを手にする。ひとまえでちゃんと歌ってみたい、でももしプロの自分に鐘ひとつしか鳴らなかったらどうしよう、でも自分を試したい。

とてもベタだけど、「失った誇りと自信を取り戻す」という王道の作品。
舞台は群馬県の桐生市。

主演の室井滋とてもよい。伊藤歩、小林稔侍も良い。

逆に、午後のテレビで流れていそうな邦画っぽい画と構成、邦楽オンパレードなあたりは、あまり好みに合わなかった。そこが井筒監督の良さと味なんだろうな、とは思った。 

のど自慢

のど自慢