以前見たアンドレアス・グルスキー展は実によかった。
よかった、よかった… と、折につれ想い出していると、グルスキーと同門のフォトグラファーであるトーマス・ルフが結構いいという話をその筋からいただいて、行ってきた。北の丸公園の近美。撮影可能なので、いいカメラを持っていくのも良い。
行ってみて感じたこと。
前半は、そんなにそうでもないのです。
この展示の告知でよく採り上げられている、匿名性の強い肖像写真を大判で呈示するやつ。
良い、んだけど、グルスキー展で味わったような、モノとしての圧倒的な存在感や、具象がじわじわゲシュタルト崩壊してくるような違和感の気持ちよさは、そんなでもない。
works 02 Porträts | Thomas Ruff
建築系のやつも、良いのだけど、いい建築物だなぁ、という枠をいまひとつ超えない。
制作過程がデジタルの世界と融合してきてから、徐々にじわじわ始まってくる。
jpegと名付けられたシリーズ。
jpeg画像の8x8ブロックノイズを全面に押し出した作品群。
これは実物に近寄ってしっかり観たほうがいいね。
この写真だと、なんかイマイチな写真にしか見えない。
建築ものの写真も非現実テイストが混じってきていい。
ミース・ファン・デル・ローエの建築物という被写体が良すぎるんだろ、って気もするが。
works 09 l.m.v.d.r. | Thomas Ruff
press++と名付けられたシリーズ。新聞報道写真の紙焼きアーカイブと、記事の手書き原稿をコラージュした作品群。
火星のデジタル画像データを元にした作品ma.r.s
works 15 ma.r.s. | Thomas Ruff
電磁気学のマクスウェルの方程式からインスパイアされたZyclesシリーズ。
日本のエロマンガのたぐいをぐっちゃぐっちゃに加工合成しまくって抽象パタンに持っていった作品Substrate。BjörkのPagan PoetryのPVみたいなやつだな。このあたりから非常にぐっと良くなってくる。
works 11 Substrate | Thomas Ruff
Photogram
感光紙にモノを置いて表出したパタンを提示する手法。をデジタルで再構成している作品群。
あぁ、これは、イイ…
works 16 Photogram | Thomas Ruff
後半からぐっと良くなってきて、満足。
ついでに、MOMATの常設も。いつものおなじみのパウル・クレーとカンディンスキー。
グルスキーの作品も展示されてました。