キング・クリムゾンの名曲にLarks' Tongues in Aspicというのがあります。
邦題はなぜか「太陽と戦慄」
何パートかに別れている楽曲で、part 1 & 2は1973年の同名のアルバムに収録されています。これで完結かと思ったら、数年後のアルバムにpart 3が収録されたり、二十数年経った2000年のアルバムThe ConstruKction Of LightにPart 4が入っていたりする。そんな延々と続いていたりする曲です。
特にこのLarks' Tongues in Aspic Part 2は、プログレッシブ・ロック界で名曲中の名曲です。独特のリフとメロディが変拍子にあいまって、非常に印象的でかっこいい一曲です。
Larks Tongues In Aspic Part 2 / King Crimson - Live
ところで。
僕がこどものころ、つまり昭和50年代初頭ぐらいの世の中の話題をさらった海外のポルノ映画に「エマニュエル夫人」というのがありました。
当時はネットも何もないですし、そもそも僕まだ小学生ですし、ポルノ映画なんて単語は1キロ離れたところにあるだけで危険でヤバイ、というレベルでした。
きっと今のレベルでみたらどってことない内容なんでしょうし、結局私はこの映画はみたことありません。
ですが、大人になってかなり経ってから聞いた話に、
- この「エマニュエル夫人」で当初使われていた音楽はキング・クリムゾンの「太陽と戦慄」のもろパクリで
- 内容を聞いたロバート・フリップが怒って話をしたら、裁判を起こすまでもなく映画側は折れて引っ込めた
- それ以降、映画には問題の楽曲は使われていない
- なので現在手に入るDVDなどにはその曲は入っていない
というのがありまして、いったいどんな代物なんだろうと、たまに気になっていました。
最近、ニコニコ動画で、問題の部分を発見。
【パクリ】エマニュエル夫人 太陽と戦慄 【レコード】- ニコニコ動画
【パクリ】エマニュエル夫人 太陽と戦慄 part2【DVDリップ】- ニコニコ動画
これは、大変面白いです。
あらかじめ断っておきますが、これはポルノ映画の、この曲が用いられている部分を抜き出したものっぽいので、特にpart2のほうは、のっけから「あぁ…」「あー」みたいな喘ぎ声が入ってます。人がいるところで聞くと確実にみっともないです。ヘッドホンとかで、うまいこと聞いてください。また、映画の画は一切入ってません。
で、問題の曲を聴いてみると…
こんなモロパクリ、聴いたことない…
空前のおもしろさです。
だいたいロック音楽なんてものは、限られたコード進行からつむぎだすもので、ある程度似ているのはしょうがないなんて話もありますが、Larks' Tongues in Aspic Part 2の、このメロディ、このスケール、このコード進行、この変拍子展開、これだけ独自のモノが、多少なりとも偶然に似るわけがないでしょう! 元の曲を知っていて、ヘッドフォンもある人は、ほんと面白いのでぜひどうぞ。
原曲でいうとBメロ(?)のあたりから入ります。
コルネットと木琴とギターが、また微妙に間抜け感があり…
後半、原曲と同じく、いちおう緊張感のある展開がやってきます。
音だけ聞くぶんには、映画の男女のセックスのほうも、それにあわせて緊張感のある展開になってる感じがしますが、そのへんも、じわじわしみじみおかしい…
ロバート・フリップが怒るのもわかります。
ただ、原曲Larks' Tongues in Aspicの題名の意味も、ゼリーの中の雲雀の舌という、とても言えない何かの形容らしいので、そこはどっちもどっちな気もします。
Larks' Tongues in Aspic Part 2は名曲かつ難曲ですが、Dream Theaterがカバーしたシングルがかなり良いです。