007 カジノ・ロワイヤル

なかなか渋めでおもしろかった。

カジノ・ロワイヤル (字幕版)
 

007映画は、だんだんマンネリになってきて内容もおちゃらけと女の裸だけになってくると、主役を入れ替えて心機一転渋めに。というサイクルがあるけれど、今度からのボンド役のダニエル・クレイグは、ちょっとマッチョ君すぎて兵隊っぽすぎる感じがあまり好きでないけれど (先にみた奥さんも兵士っぽいと言っていた)、単に好みでないだけで、演技やアクションは結構よい。

Sonyはむかし、ジェームズ・ボンド映画ほしさに、ユナイテッド・アーティストを買おうとしたことがあったらしい。その時は願いはかなわなかったようだが、時は移って、その親のMGMごと買うことになって、めでたく英国情報部はソニーの傘下になった。ご期待どおり、MもボンドもSony VAIOを使いまくっているし、デジカメもSony, ケータイもソニエリまくりだ。ただ、ボンドが女性の胸元からメモリースティックを取り出したり、クリエで敵の情報を検索する、といった絵はない。次回作あたりで、MI6のデータバンクでSony NEWSが並んでいたり、敵地に向かうボンドにQがしたり顔でソニー・マビカを手渡したりするようになったら本物だ。

むしろソニーよりも露出度バリバリなのが Ford グループで、今回もかなり無理めの設定でボンドがアストン・マーチンDB5に乗ってみたり、テクノ仕込み満点の新 DBS (顔が「猫バス」っぽいやつ) が活躍したりする。むろんフォード自体もボンドが最初フォーカスに乗っていたりするし、超高級カジノであるカジノ・ロワイヤルの玄関には、さすがにメルセデスやマセラーティも停まってはいるものの、銀幕で目立つ位置を占めるのは、アストン・マーティン、ジャガーやランドローヴァー、ボルボといった、Ford PAG (プレミアム・オートモーティブ・グループ)、要はフォード・グループの「ブランドで稼げる買収した子会社たち」のクルマばかりだ。

この理由は、フォードの広報担当重役がプロデューサーのブロッコリ一族と親しいから。この人は以前BMWの広報をしていて、なので一時期、ピアース・ブロスナンがボンド役だったころ、イギリスのスパイのくせにやたらBMWばっかり乗っていたことを覚えているかたも多いだろう。

そのあとこの人は現職のフォードに転職し、そしてその次のボンド映画「ダイ・アナザー・デイ」では、特に北極のシーンなど、Ford PAGの展示会ですか?というようなフォード大展示会となった。