家の「パソコン」は、ASUS P3B-1394という、Slot 1にIEEE1394インタフェースとチンケなビデオ編集ソフトが同梱という変なマザーボードにPentium III 500MHzを刺したけっこうまえの代物で、いいかげんもう遅いし、寒い仕事部屋に置いてあるので家族が活用するには不評で、なんか家族用のノートパソコンが欲しいということだったのだが。
大事な家族に使わせるならiBookかなーと思っていたが、家族の希望でWindowsがいいということで、まあそれも社会勉強だろう。良いもの悪いものいろいろ使ってみて、初めて善し悪しがわかるというものだ。カローラやサニーにもちゃんと乗らないと、BMWを運転してもその良さがわからない。
テレビもみたいらしく、いろいろ探して、ToshibaのQosmio F20というやつに。
テレビというかアンテナ入力は同軸ケーブルをぶっこむやつで、デジタルもへったくれもないが、うちはどうせテレビそんな興味ないし、いろいろ装置をそろえてみるほどオタクでもないし、アナログ地上波停止までずっと同じパソコン使うわけでもないだろうし、そもそもテレビみる暇あったら外に遊びにいけと。テレビに時間を使うのは人生を殺してるのと同じだ。
届いてみたら、15インチではあるが、やっぱり結構デカイ。現物をみたら、コネクタもあっちゃこっちゃにちらばっているし、キーボードのフォントもなんかださいし、デザイン感がまったくない。買った喜びが皆無だ。
もそもそとWindows XPのインストールに進む。起動してみると、日本のメーカー製パソコンの悪癖、ゴミソフトが山のようにインストールされている。スタートメニューからどこにどう行くと何があったものかわかりゃしない。もともとWindowsのスタートメニューの仕様が厳しいというのもあるけど。最悪。これも家族にとって社会勉強と考えておく。
このパソコンの特徴はテレビ試聴とかテレビ録画とかそのへんで、東芝RDシリーズの血を引くというソフトが標準添付されている。本体のTVボタンを押すとそれが立ち上がる。リモコンもついている。
さらに、Windowsを立ち上げずともテレビやDVDを見ることができるのだが、これはBIOSレベル(って言っていいのかな)で立ち上がるソフトが担当するようだ。この状態でも簡易録画とかはできるが、番組表とかつかった録画をやるならWindows上のソフトのほうでテレビ生活することになる。東芝製のメディアセンターみたいなソフトを中心に、ジャストシステム製のiTunesのパチもんみたいなやつとか、市販のDVDプレイヤーソフトとか、寄せ集めで構成されている。
いや、「車輪の再発明は愚か」だし、寄せ集めで製品を構成するのは時として効率的だし良いものができたり、センスよくクールだったりする。でもなんでだろ。このパソコンのこれはひどい。風俗店の並ぶ歌舞伎町の街角か、ドンキホーテの店内のようだ。いろんなソフトが、見た目のデザイン、使い勝手、みんなちぐはぐだからだろうか。センスの悪さがはなはだしく不快である。
東芝製メディアコントロールセンターみたいなやつの中にいるぶんにはLook & Feelは統一されている。ただこれも使い勝手がよくない。
なんでこれをクリックしてもこうならないの?
なんですぐこんなモードにはいっちゃうの?
で、なんでいまそのモードであることが画面表示的にさっぱりわからないわけ?
でもってさー、なんでわざわざ右クリックでモードを抜けるメニューを選ぶまでこのままなの?
申し訳ないが、作った人たちの「育ち」の問題としか思えない。
キーボードとマウスよりもリモコンで操作するほうが悪くないと最初おもったが、このリモコン、結局「N」とか「P」とか普通のキーイベントを発生させてアプリケーションに食わせているだけのようだ。なので、うっかり日本語入力モードにしたまま、ソファーからリモコンで「次」ボタンを押すと、(それは「N」というキーイベントを送っているのだろう)突如として AV 統合画面のうえにMS-IMEの変換ウインドウが開いて
んんんんんんんんnありえねえす。
予定表を作りたいというので久しぶりに Microsoft Outlook 使ってみるが、吐きそうなほど使いづらい。わざとやってるとしか思えない。言いたかないが、iCalのツメの垢でも煎じて… と悲しくなる。キーボードのうえに嘔吐物をぶちまけるまえに、あきらめた。
そもそも久々にWindowsでタッチパッド使ったけど、みごとに操作できない。メニューとかボタンにまともにポインタを持ってくことができない。Windowsのマウスポインタの動きって線形でしかないというか、言いたかないけど、なんで二十数年前のMacintoshで実現できてた達意の動きとこれほど違うのだろうか。俺はマウスなしのPowerBookでタッチパッドだけでここ数年レタッチも描画もやってるけど不便を感じたことはないのだが。
内蔵スピーカーはharman/kardonということで期待していたのだが、えーーー? 言いかないが、PowerBook G4 12" の背中から出して液晶画面に反射させて出すスピーカーのほうが、はるかに(略)
東芝製のオーディオ・エンハンサのようなソフトがデフォルトで立ち上がるようになってるが、たしかにハデにはなるけれど、もともとがカップラーメンのような音に、さらに味の素を大量に振りかけたような世界が出現する。おまけに、そのソフトのon/offで音量が3倍ぐらい違ってしまうので、ボリューム調整がうまくいかず近所迷惑だ。
ともあれ、さすがにいま売っているパソコンなので、Google Earthなんかもテクスチャ付きで酔いそうなほどスムーズに動くし、gyaoなんかも見れる。
Word, Excelついてるし、OneNoteも試すことができた。Norton AntiVirusもi-フィルターというのもついている。本体右のボリュームダイヤルも便利だ(上記のサウンドエンハンサの問題があるので、100点満点中20点ぐらいは便利)。各種メモリカードもそのまま刺せて、テレビの番組表予約もできる。
あまりよしあしを考えず、淡々とつかうぶんにはいいだろう。
とにかく、世の中はWindowsが多いのだから、何もかも家族にとっては社会勉強だ。なんか小説「1984」の終わりのほうみたいな切ない気分になってきた。勝利パソコン。自分がつらいのはいいんだけど、家族にそういうものがあてがわれるのはさらにつらいんですよ。