新潮選書。ニュートン、関孝和、ガロワ、ハミルトン、ラマヌジャン、チューリング、アンドリュー・ワイルズ、あとこのお二人は僕は知らなかったがソーニャ・コワレフスカヤ、ヘルマン・ワイルという歴史に残る数学者たちのお話。いいのは、単に机上でペンをああだこうだと走らせた本ではなく、著者がすべて自ら偉大な数学者たちの生誕地などに足を運んで書いた一冊だということ。NHKの番組のベースになった本らしい。紀行文のような味わいもあり、なんといってもこの方、たいへんに文章がすばらしい。香気すらあふれる一冊だ。逆にいえば、彼らの具体的成果の内容、数学的解説や数式はまったくない。
個人的には、この本に出てくる数学者たち、みなすごいのだが、やっぱりみんな「イタイ」人たちというのも否めなくて、そこがまた人間って面白いなぁという感じを得た。
ところで、恥ずかしながらハミルトニアンのハミルトンがクォータニオン (quaternion, 四元数) の創始者だということをはじめて知った。これを使うと、単なる移動行列とか回転行列とかの組み合わせでコンピュータグラフィクスを扱う際の面倒くささ、演算順序であれこれ代わったり、極のほうにいくと誤差だのゼロ割で吹っ飛んだりとかのうざいあたりをエレガントに扱えるんですよね。
僕は数学や算数がきらいで、しかしまさに線形代数でメシを食うというCGソフトウェア開発者に最初なってしまったので、なかなかつらかった。とはいえクォータニオンあたりを使おうと Graphics Gems をなめていたあたりでWeb のほうが面白そうなので CG からは離れてしまい、ついによくわからずに終わってしまった。
いまはいろいろ(日本語の!)本が出ているんですね。うらやましいなー
(Webだって当時はしばらくしてローラ・リメイ本が英語で出たのが唯一だったような?)

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