Love for Sale / Astrud Gilberto

いやおとなしめのアレンジの曲も多いのだが、全部、気の抜けたださいポップなのである。
もちろん、Astrud Gilberto は気が抜けていてかつ歌がヘタなところからあの独特の気だるく物憂い雰囲気がでてくるのだけれど、本作にはそういったアンニュイ味がまったくなく、田舎の街道筋の小汚いドライブインでもながめるようなイヤな感触がある。80年代のアメリカポップ文化が大好きなかた(「ナイトライダー」のデヴィッド・ハッセルホフの胸毛が心から大好き、とか)にならおすすめできるのかな。まぁ、この人は、Getz/Gilberto のあと、亭主と別れてアメリカに残ることを決意して以降「アメリカンポップスの人」として食っているわけだから、これはこれでマーケットニーズ的にはアリだったのだろう。