europa endless

データセンタに設置してあるRAIDが塩梅わるいとかで、とりあえず夕方から皇居経由で今日も有明に飛んでいったり、んでもってまた八王子まで資材を取りにいったりと、
こどもの日だというのに仕事で飛び回って、しかしおニューのタイヤがひと皮むけてきて、スポーツ性とコンフォート性の絶妙な落しどころが現れてきて、この至福のひととき、あぁ俺は生きててよかった、この幸福はバネ自動車共には分かるまいと、夕暮れのお台場から夜の中央高速へと、iPodでセルジオ・メンデスをぐいぐい流しながらご機嫌で首都高をてきぱき流していたと思いねえ。

中央に入る料金所、前にいる阿呆アリストの前に、ものすごく低い車影がみえる。
ヨーロッパだ。

これだけ車高が低いと、料金所のおじさんもたいへんそうだ。受け付けのスライドドアをあけて、中腰からかがみこんでオツリを渡している。そもそも運転席の窓もろくに開かなそうだし。
おもしろいなと思いきや、そこから全開加速に移ったらしき音が、ウイルソン一家もどきの厚いコーラスがかかったような、野太いハーモニーにきこえる。
これはと思って追い付いてみると、国立府中でちょうど降りてしまったところだった。

あぁ残念と思いきや、前方300mぐらいのところにも、もう一匹、いた。コーラスに聞こえたその理由は、2台つるんで走っていたのだ。きょうは連休最終日、ミーティングでもあったのだろうか。追い付いてみると、塗色はBRGに中央がカナリヤイエローのツートン。

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車内のステレオの音は止めた。若干ミクスチュアが濃ゆいのか、若干つまった音質ながらもすばらしいサウンドを奏でつつ前方をゆくその音を聴いているだけで素晴らしいBGMだ。なにがiPod, セルメンであろうか。

さらに、エアコンの外気導入からよい香りがただよってくるので窓もあける。カストロール系の香りなんだろうか、えも言われぬ内燃機関のよい薫り。
ほとんど恍惚としつつ、120ぐらいで追走する。
ときたま、おファミリーのイプサムなんぞがふらふらとファストレーンに割り込んできて、ヨーロッパの行く手をはばみ、エグゾーストがこもったトーンに落ちてパン、パン! と音をたてる。このうつけ者! 背中のウェーバー様がおカブりになったら何とする気だ、俺が代わって成敗してくれる、というまでもなく、ロータスサウンドに驚いたのか飛びのいた1.5 boxの二瞬ぐらいあと、ヨーロッパ独特の、リンケージの動きが丸見えのルノー製ギアボックスが、お尻のしたでカチャリとシフトダウンして、ごく微かにリアを沈めて? 全開加速に移るその姿と音を目の当たりにまたできただけで、あぁ幸福、イプサム君よくやってくれたご苦労。

…というような文章は、チャラチャラ系の外車雑誌とかによく載っているわけだが。つかまぁ、八王子第二出口を彼がヒール・アンド・トゥでうわん、うわんと降りていくのを聴いただけで、胸が痛いほどに、それはもう性欲を迎えた男子中学2年生のように、立って歩けないぐらいむらむらした。ああやはり人間としてMT車が(も)欲しい。