なんか最近女性器がらみのことばかりだな。
以前どこかで書評をみかけて、これはいつか読んでみたいと思っていた一冊。
これまで宗教的・習慣的に、あまり触れない、タブー視される、ともすれば けがれたものと扱われてきた女性器について、特に「受け身の存在」と医学的にも捉えられていた側面についても、いろいろな調査や論考であたらしい視点を与えてくれる、とても興味深い本。
歴史・人文学・比較分類学的な考察から、いろんな動物に備えられた医学的な機能 (たとえば精子を複雑なメカニズムで、ともすれば数ヶ月から一年単位まで貯蓄する仕組みや、選択的に各種オスの精子を拒絶し排出するシステム)、さまざまな動物の驚くべき女性器のしくみ、あるいは女性器切除 (FGM) の蛮習について、などなど。
クリトリス切除はマスターベーションを防ぐ方法の一つだと考えられていたが、アメリカではコーンフレーク王のJ.H.ケロッグがまた別の治療法を考えだした。女の子が自分で楽しむのをやめようとしなければ、「純粋な石炭酸」をクリトリスに塗ればいいと提唱したのである。
ほんと、歴史面でも医学面でも、知らないことばかりで大変おもしろい。
僕は日本という国に生まれ、日本国籍を持ち日本に住んでいるわけだが、ご存知のように日本書紀は、アメノウズメノミコトが女性器をさらして楽しく踊ったら天岩戸から天照大神が出てきて世界が暗黒から取り戻されたという、物語の起源が女性器に祝福されている神話である。そんなテクストをもつこの国は、カトリックのように、女性器・経血を穢れた忌まわしいものと捉える価値観もない。本来ぼくたちは男女半数、互いの文化やからだや性器をも、もっとたのしく理解しあっていけるはずだ。
そんなあたりのディスカバリー・チャンネル的な知識欲を満たしてくれる一冊。おすすめ。
- 作者: キャサリン・ブラックリッジ,藤田真利子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2011/02/04
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- 出版社/メーカー: 河出書房新社
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- メディア: 単行本
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