内省的ばんざい

The Beach Boys というと、海にサーフィンにスポーツに、元気なアメリカの兄ちゃんたちがちゃんちゃんチャカチャカ、というイメージがまずあるが、
(って、いまどきそんな単純なイメージしかビーチボーイズに持ってる人なんかいないか、)
生みの悩みと苦しみと内省、そこからうまれる、ポップの王道を行きながらも屈折したエッセンスのかおりがたまらないわけで、ひさびさに電撃的に聴きたいのがあったのでゲット。

Sunflower/Surf's Up
このへんも実家あさればアナログ盤があった気もするんだけど。LP二枚入って 980円というのは安くなったものだ。(私は iTMS で買ったので、そっちだと 1,500 円でむしろ高い)

なにしろビーチボーイズというと、2枚組ライブアルバムを車で聴こうと思ってテープにダビングしたら、46 分テープに全部入っちゃってびっくり、みたいなことがしばしばあった。「車で聴こうと思ってテープにダビング」「46 分テープ」というのがもはや今のひとにはわかりませんかそうですか。

Sunflower と Surf's Upで内省的というと、まさに Surf's Up という希代の名曲が入っているけど、'Til I Die も、なぜか目立たない地味なナンバーに甘んじているものの、相当に屈強な隠れ名曲だと思う。

そしてSurfer Girl/Shut Down, Vol. 2(これもアルバム2つぶん入って 980円と非常にお買い得)にも、もちろん In My Room は内省系のコーラスがきれいな名曲だけれど、これを聴くようでは素人と言ってよくて、むしろ不気味ですらあるぐらいの、若干メンヘルにさしかかったぐらいの美しさをもつ Warmth of the Sun が最高だ。

これらの曲は、サビのコード進行とか、「予定調和に乗りつつ予定調和を裏切る」、なんというか「予定調和分数裏切り」みたいなブライアン必殺技が会心の炸裂をみせていて、全身を襲う鳥肌発作に、ああもうこんなことならひと思いに殺してくれ、という素晴らしさだ。名曲過ぎて、目をつぶってまじめに聴くと、一発で泣くことができる。

なんかひさびさにこれらを聴いて、脳内物質が出過ぎたのか、へんに濃い文章になってしまった。