息子が公文から割引券をもらってきたので、プロ野球観戦というものにいってみる。
場所は東京ドーム。東京ドームに入るのは、マイケル・ジャクソンと、たしかYMOの散開コンサートに行って以来だ。というか、野球場にせよ、テレビにせよ何にせよ、プロ野球というものを見るのは生まれてはじめて。日本ハムファイターズと、オリックスバッファローズの試合。
なんというか、野球観戦、スポーツ観戦というビジネス、ビジネスモデル、社会モデルがほんとうにあるんだなぁとある種の感慨があった。一般人の興味の動向がどういうものか知っておくことは仕事上もプラスになる。なんでも試してみるべきだ。
なにぶんまったく知識がないので、いろいろ興味深い。
球場のいろんなところに、どういう会社や商品が広告をどのように出稿しているのかなど、興味深く観察した。(そっち系は、むかしリアルタイムCG実写合成関連の仕事で、ちょっと調べたことがあったので)
- 野球場、全員必死で見ているものかと思ったが、けっこうみんな、酒を飲んだり、弁当を食ったり、自由に退席したり、携帯をいじったり隣と話をしていたり、案外まったりと見物するものだった。反戦デモのなかに一人混じったリベラリストのような辛い思いをする覚悟で臨んだのだが、こういうまったりしたものならいいね。
- というか、そもそも後楽園球場、じゃない東京ドームでは、巨人以外の野球チームの試合も開催される。(母もこれは知らず、驚いていたようだ)とくにどのチームがどの球場でやる、というのではなく、ツアー的にいろんなところでいろんなチームが試合をする。
- アナウンスはJ-WAVEのDJのような調子で、半分英語まじりで、スカした感じだった。名前を読み上げるのもファーストネーム、ファミリーネームの順。いまの野球は半分ぐらい外人だから、こういうやりかたのほうが破綻しないかもしれない。
- 先攻と後攻が交替するときには、球場内部にもがんがんコマーシャルとかかかる。なんか人形のかぶりものが出てきて踊ったりもする。
- 「日本ハム」「ファイターズ」「オリックス」「バッファローズ」といった名前のトークン、やはり、ばらばらになると良くわからない。
球場の点数表示のところにはファイターズ、バッファローズという名前しか出ていないので、チケットに印刷してある興行名称と読み合わせないと、最初の1〜2時間は、どっちが日本ハムでどっちがオリックスなのかよくわからなかった。外野のほうに座っていて、選手がよく見えなかったこともあるだろう。 - 野球の試合はだいたい4時間ほどかかる。
午後1時からはじまったが、途中で計算してみて、こりゃ終るのは5時ごろだと思ったら、気絶しそうになった。というか、ぶっちゃけ途中の2時間ほどは息子と爆睡していた。 - 出場表? には、選手の名前が役職と一緒に表示されているが、P C 1B 2B 3B LF CF RFというのは割とすぐわかったが、SSというのがかなりわからず。
携帯でircで「ショートストップ」だと教えてもらう。10分ほどして、そういえばショートというものがあったと思い出した。
なのだが、出場表にはDHというものもあり、それは「指名打者」らしいのだが、それが守備でどこの位置なのかさっぱりわからない。守備している人を数えたが、混乱してしまい、守備は8人でDHはベンチで待っているのだろうかとか思ったが、
そのタネ明かしは、出場表には9人ではなく10人リストアップされており、なのでリストにある全員が守備に出ているわけではないということ。ピッチャーはふつう守備には出ず、DHというのが代わりに守備にでるのだそうだ。
野球というのは9人対9人のスポーツだと思っていたが、いまのプロ野球は実質的に10人対10人のスポーツということなのだ。これも携帯でircで教えてもらった。 - 日本ハムとオリックスはパリーグらしい。このパリーグとセリーグというものも、かれこれ35年近く謎の概念だ。あるチームはどっちかにしか属していないのだろう。
- 座っていたのは外野だと思っていたが、なんというか、1塁と2塁の延長線より外側が内野のようだ。(座席の区分として。)
延長線が観客席と交わるあたりに、黄色い高い棒が立ててあり、おそらくこれをもってファールとホームランを区別しやすくしているのだろう。 - スコアボード (apacheのscoreboardはここからきている?) にある E はエラーで、最初なんでEが増えないのか(バッターの打ったボールを取れなかった守備とかいるのに…)わからなかったのだが、重大なエラーのことを、恣意的に判定して「エラー」となすようだ。ただしこの数値と勝ち負けが関連しているのかはわからない。
ほかにも「勝ち投手 vs 負け投手」(推測すると、勝ったチームの投手のことが勝ち投手なのだと思うが、それならあるチームが勝ったと報道すればいいだけで、わざわざ明示的に勝ち投手負け投手という意味がわからない)など、数えれば切りがないほど判らない部分があるが、おそらく息子と同じ程度には判っているので、ざっくりと観戦を楽しんだ。
息子は、誰にも教わってないのに、フォアボールとかスリーアウトとかちゃんと知っていて、父親としてうれしかった。
私はぶっちゃけこういうのを全く知らず、知りたくても情報がどこにもなくて、小学生時代に非常になやんだ。
(嘘だと思うなら「ファールとは何か」解説してある情報をしらべてみるといい。ついでにいえば、30年前の小学生にはGoogleもインターネットもなかった。これに比べると、将棋だの麻雀だのは初心者向けの情報がきちんと存在する。)
三十年前の野球を知らない小学生というのは、戦時中の非国民と同じで、ずいぶん辛い思いをしたこともある。このおかげで、多数派とか常識とかを決して信じず、少数派を愛しオルタネイティブを決して忘れない僕の人格ができたのだと、いま考えてみればよかったのだと思うが、でも、当時のぼくに、今の僕のような、野球場に息子と一緒に来て、わからないことを聞けばいろいろやさしくおしえてくれるお父さんがいてくれたら、
(正確にいえば、わからないことを聞くと、こそこそと携帯でircをして、誰かに教えてもらって、それをおしえてくれるお父さんがいてくれたら)
また違う僕がいたのかも、とか思った。
ぶっちゃけ、僕は小学校低学年ぐらいから、
- いつか僕に男の子ができて、お父さんキャッチボールしようっていわれたらどうしよう
- いつか僕に男の子ができて、お父さん野球見に行こうっていわれたらどうしよう
というのを真剣に悩んでいたのだ。
たちぐい蕎麦
昼飯は西武池袋線の地下改札のたちぐいコーナーで。おとうさんは中学高校のとき、よくここで食ってたんだよ。こういうのが、親父と息子のメシのつき合いだよね。