いろんなところで主人公が飯をくう、ただそれだけのマンガです。でもこれはいい!
「グルメマンガ」ではありません。これはこれでB級グルメといえないこともないが、そういうふうに構えちゃうとちょっとこの本の世界と違う。
なんというか「東京人」だ。それなりにこだわりもあるし自分の感覚も持ってるが、シャイだし、がっつかない。何かにやたら熱くなるとか夢中になるとか、そういうのにどこか醒めているところも常に持っている。うまく言えないけど同じ東京人ならわかってくれると思う。
(この「東京人」感覚は、以前ムーンライダースの映画「Passion Maniacs マニアの受難」を観たときにも強く感じた)
主人公はいつもスーツのビジネスマンだけど、「島耕作」的な世界とは真逆というか、対偶にある。
(島耕作って絶対に絶対に「東京人」じゃない)
むしろ本書は、島耕作の皮をかぶった「つげ義春」な世界かもしれない。
久住昌之によるストーリーは、ペーソス、までもいかない、もっと淡いフラグメント的なものを醸し出していて、なんとも滋味深い。東京人のあなた、よければぜひ見てみてください。