何人かの商売系スパマーと、それに対応するアンチスパマーの女性の戦いを交互に描いた一品。基本的にノンフィクション小説であって、技術的な書物ではない。一般の人が読んでも大丈夫なレベルにかみくだかれた内容。
あとがきにもあるとおり、正義の味方側に属するのはアンチスパマーのオバさんのほうなのだが、どうにもこっちのほうがうっとうしい、ウザい粘着という、決して友人としては欲しくないタイプに感じられ*1、むしろスパマー側の、野望欲望直結の野放図な生態のほうが魅力的で、一種のピカレスク・ロマン (悪漢小説) のようにも読めるところがおもしろい。
- 作者: Brian McWilliams,夏目大
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2005/06/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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訳は、純粋なエンターテイメント文学として存分に楽しめる、という域には達していないが、必要充分な読みやすさと正確さを備えている。何よりもこの本、まだ初版第一刷だというのに、ただの一文字も誤植に気づかなかった。これはすばらしい。いや、技術書じゃなくて読み物だったらこれはあたりまえ?