ミクロ・パーク / ジェイムズ・P・ホーガン

ナノテク方向のモビル・スーツのようなものと、それを操作するための革新的なバーチャル・リアリティ・システム。その技術をひたすら進める純真なベンチャー起業家の父と、卑怯な手を用いて父の会社を乗っ取ろうとする悪玉。主人公である起業家の息子、そして友人、仲間たちが繰り広げるワクワクドキドキのスリルとサスペンス。

という作品だ。

小説というよりも、映画のノベライズを読んでいるような感じがある。作者も映画の脚本を目して書いたのではないだろうか。極小の人型ロボット、あるいは虫型ロボット、あるいはブリキ缶のような大型工作ロボットへと、操作者がどんどん切替えて遠隔ジャック・インして操作活躍していくさまをCGとの合わせ技で映像化するのは、ハリウッドにとってはまさに手頃な題材だろう。スピルバーグやディズニーが手掛けると実に良さそうな素材だ。

なんか褒めているような、けなしているような言い方だが、実際その両方だ。高校生ぐらいにも薦められる冒険活劇小説であるし、逆にホーガンの作品にしてはアチャラカすぎる。後半の大団円など、悪玉のひとりの様子が、「101匹わんちゃん」のクルエラに重なって見えてしまった。

あと、ある意味では主人公であるマイクロロボットたち。私は、また別の「ロボット」がしばしば登場する漫画を好んで読んでいるのだが、本作を読んでいて、つい途中でその別の「ロボット」のことを思い出したため、後半はもう、スクリーン狭しとその「ロボット」たちが走り回り飛び回るさまばかり連想してしまって、すっかりメタメタのダメになってしまった。

「魁! クロマティ高校」の「メカ沢」を。