Radiation / UKZ

U.K.という、プログレッシブ・ロックの、ややスーパー・グループがかつてイギリスにありまして。
それの、やや中心人物だったEddie Jobsonってひとが、再結成ぎみに新プロジェクトをたちあげて、なんかうまくローンチせずに今に至る、的なユニットが UKZ です。

Eddie Jobson氏がキーボードとヴァイオリン,そしてKing CrimsonにいたTrey Gunn氏がWarr Guitar (Chapman Stickとは違うの?) 担当で事実上のベースみたいなもん,あとは腕利きのギターの人とかドラムの人とかヴォーカルのお兄さんが参加してます。

結局、4曲入りのこのEPを発表したぐらいしか活動できてないようです。

(2012.2追記) しらべたら、amazonからもiTunes Storeからも消えてます。

売り切れならよくあることでしょうが、amazon.co.jpで404 Not Foundになるのはよくよくのことのように思えます。なんだろう?

タイトル曲 Radiation は,2000年以降のクリムゾンみたいなヌーヴォー・メタルっていうんでしょうか、あんな感じがもうちょいポップに寄って、ディストーション・ヴォーカルがオルタネイティブ・ロックっぽいつーか、でもお約束の変拍子構成も実にそれっぽいです。3:40のパワー・ユニゾンなブレイクの後の展開も実に古式ゆたかなプログレロックの血脈で、手数の多いかっこいいドラムとか、ギターソロのあとにジョブソン氏のヴァイオリンとか、それぞれの見せ場を順繰りに出してくる展開は、まるで紅白歌合戦の台本を2分にまとめたかのようです。
ジョブソン氏の弾くSynclavierもカッコいいです。

なお、Radiationっていうぐらいで、PVを見るとより鮮明に反核放射能ハンタイなメッセージが伝わってきますが、このテーマはあのクラフトワークですら どっぷり外してしまった禁じ手で、正面からやるとあまりにも童貞くさくてはずかしいので、スルーしてあげましょう。こういうのは忌野清志郎みたいな器と方向のひとにまかせておいたほうがいいとおもいます。

このEPは全4曲ですが、Tu-95はよくあるインストプログレロックで、まあ普通。
Houstonは、白玉シンセに泣きギターに、Houston, we have a problem と歌いかけてくるみっともない内容で、中学生の男の子が音楽室で作ったような楽曲です。
Legendは収録空き時間をギター一本で埋めているだけ。ということで、Radiationのシングルとして捉えたほうがよい一枚です。

ということで, うーん, Radiation, 充分いいんだけど,いまいち煮え切らない, 煮詰まってないところが,かえって憎めなくて, どうも最近愛聴してました。
そもそもユニット名のUKZってのが煮え切らなさの象徴ですよね。
この感じは最近どこかで感じたのだが… と思っていましたが、わかりました。孤高の名車シトロエンDSの、ブランディング復活版のシトロエンDS3で感じたのと似たような心境なのでした。