ライヴ・イン・パリ 2001 / Depeche Mode

Depeche Modeはずっと「全員シンセ」のバンドで(ヴォーカルはヴォーカルだが)、最近は3人になっちゃったけど、そんな独自の構成を頑固に守り続ける奴ら、というところもレスペクトしていた。

でもこの十年ぐらいは、結構ギターを入れたりしていて、ちょっと気に入らなかった(マーティンは昔からギターで作曲してるのは知ってた)。

そりゃギターは表現力ゆたかな楽器だ。カッティング入れりゃリズムも世界もすぐ作れるよ。
でもそんなん世界中で腐るほどやってんじゃん。街を歩けばそんなバンドは 5m おきにゴロゴロしてるぞ。お前らには独自アーキテクチャを続けてきた誇りはないのか!
ナイロンズやフィフス・ディメンジョンみたいな素晴らしいコーラス・グループがある日くちパク巡業になったら嫌だろう。「全員シンセ」じゃないデペもそれと同じだ!

このライブは、見てみるとわかるが、さらにドラマーも参加している。あーあやっちゃった。

とはいえ。

マーティンの弾く Dream On のリフのみ、からステージが始まるのだが、実はけっこうこれが良いのだ。
マーティンもデイヴももうすっかりオッサンだが、(アンディは相変わらず一本指でシンセ弾いてるのか、弾いてすらいないのかわからんが)この頃 (アルバムでいうと Exciter) の彼らの曲は、ミニマル・ミュージックと泥臭いブルースを合わせたような独特のテイストで、当時の僕はあまりピンとこなかったが、こうしてライブで、飛び散る汗と、体温感、ブルース、黒人感すらあるロックが漂ってくると、これはこれで素晴らしいと思えてきた。僕が年をとって、いろんな音楽を許容できるようになってきたのもあるかもしれない。

Anton Corbijn のディレクションも渋みのあるアートで素晴らしいです。おや、と思ったかたは一見の価値あるかも。