独自のアイディアで光る、しかし地域の小さなハンバーガーショップ店舗群に過ぎなかったマクドナルドを現在の形まで大きくした人の映画。いわゆるイチ・ヒャク、グロースってやつですね。
優れたお店を作り、しかし身の丈以上にはしたくない創業者のマクドナルド兄弟と、さらにそれをグロースさせたいレイ・クロックの野心、どっちもわかる、わかるぞ……
この映画の主人公は後者で、前者はどっちかというと店のアイディアとブランドを奪い取られた被害者として描かれていて、まぁ実際そこそこそうでもあるし、みんなが後者に感情移入できるかっていうと限界もありましょう。
かといって、主人公はあくまでも努力したビジネスマンに過ぎないので、ラスベガスを立ち上げたベンジャミン・シーゲルを描いた映画「バグジー」のようなギラギラしたピカレスク・ロマンにもなれない。
映画や役者そのものは悪くないのだが、誰もが知る実在企業がモデルなので、筋をいじりすぎるわけにもいかないだろうし、スティーブ・ジョブズほどとんがった人物でもないから、実話をもとにした悪くないヒューマン・ストーリーとして程よく仕上がりました。以上には仕上げられないよねこれ。