豚や牛とか、肉を食うときは殺して肉にしてたべるわけで、そんな屠殺(このひとは屠畜といっている)のいろんな国や文化におけるいろいろを、どんどん取材してスケッチして綴った、なかなかの一冊。
世界屠畜紀行 THE WORLD’S SLAUGHTERHOUSE TOUR (角川文庫)
- 作者: 内澤旬子
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/05/25
- メディア: 文庫
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著者の内澤さんは1967年うまれというから僕と同い年だ。イラストルポライターということで、ほんのり味がありながらも正確なペン画イラストが要所要所に配され、とにかく興味あらばどこまでも突っ込んでいって、聞いて、書いて、描いて、というあたりは、妹尾河童の一連の「河童が覗いた」シリーズが好きなかたならぜひおすすめ。
文化論とか比較人類学が好きなかたもに。気合いが一段と入ったデイリーポータルZともいえるかもしれない。
あと、動物を殺して肉にする作業が、なぜ(たとえば)日本では怖がられ忌まれ差別のネタになったりするのかというところにも興味の重きが置かれていて、各国、各宗教、各種民族にもいろいろルポして考察している。
やっぱ基本は「殺した以上は感謝してちゃんと全部食え」ですよね。
あれこれ気分だけで可哀想だの残酷だの文句を垂れる向きがいかにばからしいかよくわかる。外国のスーパーとかいくと、食料売り場に牛の首とかぽいっと置いてあったりするのにねー。
「皮鞣し」まわりも取材していて、もしこのあたりが気にいったかたは、余力があれば福野礼一郎の「クルマはかくして作られる」シリーズもぜひ見てみていただきたい。これはひたすらクルマの各種製造現場を追った、カー・グラフィックの連載記事をまとめたものだが(そのなかに「皮鞣し」の現場もあるのだ。また福野は別の本でもナイフや皮鞣しへの魅力と現場を目撃してのショック、そのショックをうけた自分への考察とその裏にある文化の洞察を行っている)、こちらはさらに豊富なカラー写真と、一行必殺レベルに気合いの入ったルポルタージュ魂が1ページ1ページに会心の燃焼を見せる、「DPZ」と「情熱大陸」と「プロジェクトX」と「ゆきゆきて神軍」を混ぜて、ギターアンプに突っ込んでボリュームをフルテンにしたような名作です。
クルマはかくして作られる―いかにして自動車の部品は設計され生産されているのか (別冊CG)
- 作者: 福野礼一郎
- 出版社/メーカー: 二玄社
- 発売日: 2001/04
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クルマはかくして作られる 4 レクサスLFAの設計と生産 (別冊CG)
- 作者: 福野礼一郎
- 出版社/メーカー: カーグラフィック
- 発売日: 2013/03/06
- メディア: ムック
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