Pleasure One / Heaven 17

Heaven 17の3枚めのアルバム. 1986年.

  • Contenders
  • Trouble
  • Somebody
  • If I Were You
  • Low Society
  • Red
  • Look at Me
  • Move Out
  • Free

ご存知のとおり, Heaven 17 は初期の Human League のメンバーが分裂してできたものだ。V7 UNIX のあとの BSD と System V みたいなもんか(全然違うか)

Human League のほうは分裂後アルバム Dare で Don't You Want Me (愛の残り火) を大ヒットさせてエレ・ポップの金字塔となったのは日本史の教科書にも書いてあるとおりだが、 そうじゃない、残り? のファンク+ロック+実験やりたかったほうのメンバーは、 まず B.E.F (British Electric Foundation) というプロダクション・チームをこしらえた。

そして、B.E.F. にヴォーカルを一名加えて3名ユニットという形態になったものがこの Heaven 17 である。いわば B.E.F. は純粋仮想クラスであって、 Heaven 17 がその導出インスタンスであって実体を持てる(全然違うか)

いまだったら「T.K. がまた新しいユニット」とかのプレスを見て、 そのターゲットと戦略を女の子の前で自分なりに分析してみちゃったりするのが かっこいいとかいうのがいまどきの高校生あたりかもしれないが、 当時はこういうロックと商売とのコンビネーションを前面に出すみたいなのは あまり好かれず、彼らのウィットもあまり理解されなかったようだ。

1st のジャケットなど、「音楽ビジネスに日々躍進活動するメンバーたち」みたいな、 課長島耕作からスケベを抜いたようなデザインになっていて、実におもしろかったんだけど.

マルコム・マクラレンのレベルぐらいまでくれば、 あまりにムキダシの商売ロックのエゲツナサで 「あいつ大っ嫌い大っ嫌い」でかえって興味を引いてしまう術もあったかもしれないが..

ともあれ、割と肩の力の抜けたこの 3rd のなかで, いちばん好きなのが If I Were You. まるで森高千里が歌っていてもまったく違和感がないような、 こちらが照れくさくなるようなポップ・チューンである。

Somebody もいい。コルグのDW系のようなきらきらした音からはじまる、 スケールの豊かな楽曲である。

えーと、あとは..Contendersも悪くはないね。

あとは.. なんか、あったっけ.. ごめん..

どうも、彼らって、アレンジが凝りすぎてかえってうっとうしくなってしまうキライがあるような気がする。 結構根底に実験 & 不気味なものは持ってるんで、 たとえケーキのような甘いものを作っても、どこかに隠し味、 不気味さがかすかにダシとなって入るところはいいんだけど、 調味料入れすぎというか、 最後にちょっと引いてみるあたりがうまくないような気がするんだなあ。

パイロットにてエンジニア、 そして童話も書くサン・テクジュペリも言っているじゃないですか、

完成とは、これ以上付け足すものがなくなったときではない
これ以上取り除くものがなくなったときでのことである