2006/6/1にUSS Midwayにいってきた写真。
まさにセンス・オブ・ワンダーのかたまりだ。すばらしい。
なんのことはない港町に停泊する USS Midway.
入場料はふつうの大人だと15USD.
いきなり、屋上(飛行甲板)の下にある格納庫にはいる。ここだけでも、ちょっとした駅とバスロータリーぐらいは入る程度に広い。
音声ガイドの機械とヘッドフォンを渡される。日本語解説も出る。船内の各所に番号があって、機械のほうをその番号にあわせると、その場所に応じた解説が聞こえる。
ぜんぜんつかわなかったけどね。
いきなりA-4スカイホークですよ。いいよねえ。デルタぎみの翼、ならんだ渦流発生チップ、ツンと伸びた給油プローブ、やんちゃな風防、主脚格納バルジ。背中の無理に拡張されたバルジもいい。みんな好きな機体だと思うけど僕も大好きだ。
だたっぴろい伽藍のような格納庫からわけいっていく。いきなり狭い。ここは海軍兵士のベッドルーム。これは図書館ですか?って感じに狭い。ニホンジンでもそんなさくさく通り抜けできる感じではない。すごいねえ。
さらに船首のほうに進んで、錨の格納庫。街ぐらいあるこんなデカイ船の、でかい錨が、ここで巻き取られて、と考えるだけですごい。
さらに進んで、これがミッドウェイのいちばん前。丸い窓から見えるのはミッドウェイの前方。こうしてみると、空母を構成する鉄板のカタマリって、厚いような、薄いような。
また狭い船内を戻る方向の通路へ。閉所恐怖症の人はだめだろうなあ。逆に、お城のなかとか忍者屋敷とか、地下鉄とか好きなひとだと、仮にミリタリー系にまったく興味がない人でもかなりいけるかもしれない。
シャワールームにいるのは海軍兵士(の模型)です。
地上? じゃなくて、のぼって格納庫にもどる。おなじみJ-47なんぞが置いてあるが、こんなありふれたものはどうでもいいとして。
(たとえばF-4 Phantom IIなどのジェットエンジンです)
機関室。そしてそのエンジンの圧縮室と、変速機。
(もちろんMidwayはまだ原子力推進なんかじゃないので、重油を炊いて動く)
ただただデカイ。感嘆するばかり。
直径数メートルある変速機のギアの歯形はダブルヘリカルギア (>>>>>>) だ。
工作室。旋盤などが並んでいる。
オーダナンス・ルーム。オーダナンスってのは兵装。つまり、いま飛んでってる、相手を殺してる、戻ってきてる、スタンバってるヒコーキたちに、どこにどう爆弾を何発つけるかをすべて把握して指示するところ。
この指示パネル、単なるプラスチックのでかい板です。ひたすらアナログに、メモとかペンとかを使ってやるんだね。百式あたりで取り上げていただきたい。
いきなりここだけ日本語の展示パネル。Midwayがいかに日米安保に重要な役割を果たして東西冷戦の平和確保に従事したかについて書いてある。ニヤニヤしながらみた。というか一行だけ読んだ。
さてまた格納庫に戻って、わざとがまんしていた飛行機をみはじめる。
いきなり難しい機体からきた。これ、わかるかな?俺もこいつは説明板を見るまで名前がでてこなかった。
ノースアメリカンの海軍用ジェット練習機です。T-2Cバックアイ。確か主翼がP-51と同じなんだよね。
子供(大人子供?)向けにいろいろシミュレータが並んでいる。
僕がこどものころは、飛行機の操縦をシミュレートできるシミュレータというものがあると図鑑で読んで、もしそんなものに1分でも触れるなら死んでもいいと思っていたが、今や秋葉で十万とか出せば自宅で楽しめる世の中になったわけで、すごいなあ。
でもまあこいつらは海軍純正? だし、本物かどうかわからないが、プラウラーとかクルーセイダーそっくりの形のコックピットに収まれるというのも悪くないかも。
これはノースアメリカンのT-6テキサン、の海軍版。テキサンは映画とかでよく零戦役をしたりするから有名だよね。
テラスみたいになってるエレベーターでひと休み。もちろん、格納庫と飛行甲板の間でヒコーキを運ぶためのエレベーターだ。テニスの試合ぐらいできるぐらい広い。
そのあと、設けられた階段から屋上の飛行甲板にのぼる。
F-14ですね、はいはい。
とはいえ、こんな近づいてみたのはさすがにはじめてだ。近づいてというか、機体のどこでも触ったりなめたりできる(触ったりなめたりしないけど)。
可変翼のあたりのフェイシアとか、案外現物はラフな造りなんだなと思った。
アレスティング・フックとか、アフターバーナーのオリフィスとか触ってみた。ここが何十トン、何百度ということになるのかと思うと、ちょっと恐くて、不思議な感じ。
尻のあたりには、US NAVY純正フォントであるFutura Boldでシリアルが入れてある。僕がフォントの中でもFutura Boldが結構好きな理由だ。
F/A-18ホーネット、のアグレッサー仕様だ。やばいかっこいい。死ぬ。
アグレッサーというのは、ご存知のかたも多いとおもうが、「訓練のさいに敵のフリをする部隊」のことで、USにはソ連空軍のアグレッサーがあり、F/A-18は近年のスホーイあたりの役をよくやっている。F-5なんか今やほとんどミグ21役の俳優としてのみ暮している。
彼らはパイロット服とか、無線通話もわざと全部ロシア語でやっていて、最高にかっこ良かった。映画「トップ・ガン」に出てから、知名度も上がった。
F-8Fパンサー。朝鮮戦争初期のころにミグ15に負けてたジェット戦闘機。いやーこんなものまで見れるとは。こいつを後退翼にしたクーガーとか、タイガーとか、スカイレイとか、60年代の米海軍戦闘機あたりはまた実にほんとにイイね。
ちなみにこのころの番号のつけかたは、F-8Fの最初のFはFighterで戦闘機だが、お尻のFはグラマン製という意味。だからたとえばF-8Jってのは、ノースアメリカン製の、F-86セイバーを米海軍用にしたフューリーというヒコーキだったりする。ややこしいね。たしかセンチュリーシリーズ (F-100に始まる、米空軍の百番台戦闘機シリーズ)あたりから三軍あわせた命名法に統合されたんだったと思う。
プラウラー。別にいいや。
F-4Jファントムが着艦したばかり、というかアレスティング・フックで着艦索をひっかけたあたりの想定で置いてある。甲板から着艦索が出てくるところも見ることができた。結構ちいさい。こんなモンで、どれだけの衝撃と圧力を受け持つのだろうと考えるとすごい。
R/A-5ビジランティですよ。
ノース・アメリカンの優美な長い機体。
艦上機かよこれ、というぐらいのでかさ。
R/A-5というぐらいで、余生は偵察機に使われた機体ですが、もともとは核攻撃機として設計されたもの。お尻の奇妙なかたちを見てほしい。
まだ戦略ミサイルが実用化されてなかったころ、まあソ連のモスクワとかに水爆を落っことすには、すごいスピードで必死に飛んでって、(まあ運が良ければそのまま向こうに飛び抜けて帰投する…そのときに母国も残ってるかどうかは知らないがね)という方法しかなかった。
当時の技術で、外に爆弾やらなにかくっつけてマッハ2以上をだすなんてできなかったし、当然爆弾槽をマッハ2で開くなんてのもムリだ。そこで考えられたのが、胴体の真ん中に、尻にむけて細長いストローのような空間を設け、そこに細長い核爆弾と燃料タンクをつっこんでおき、目的地上空で、あたかも女陰から胎児とオリモノを分娩するかのように、ここまでの燃料のタンクと、水爆を「産み落とす」のだ。
いろいろ飛行機はあるけれど、ビジランティは、その機体の優美さと、その存在意義のキツさと、ソ連上空で何百万人かに死を与えるための卵を産み落とす部分の性器チックなデザインが、とにかく強烈な印象を僕にあたえた飛行機で、これは一度は見たいとおもっていた。なのでこれは本当に収穫だった。いやー、美しさと狂気ってやつがヤバイ。同じくフランスのミラージュN (ヌクレール) なんかも一度は見てみたいものだ。
こいつのお腹が白く塗ってあるのは、水爆爆発時の閃光から少しでも自分を保護するためだ。
ちなみにすぐ戦略核ミサイル時代が訪れたため、ビジランティが核攻撃機として就役していた期間は短かった。
なんとなく見た目がロシアっぽくて地味に好きだ。しかし名前思い出せない。
ヘリなど。まあどうでもいい
いや甲板はひろかったです。ほんと。
カタパルトのほうにいってみると、F-8クルーセイダーとA-7コルセアの兄弟がならんでいて、しびれる。
クルーセイダー、もう横の無理な拡張バルジとか、サイドワインダーのへんな付け方とか大好き。例の主翼取り付け角度可変装置のリンケージって、すごくちっちゃくて、一本しかない。これで支えてたのか。しびれる。
E-2ホークアイ
甲板のむこうに市街がみえるのがなんともシュールだ。
下に戻って、兵員食堂。
さらに手術室。想像するとちょっとキツイ。
さらに医務室とUS Post Office / 銀行窓口。