Die Another Day - なんか:かんがえて-6

最新のゼロゼロセブン映画。

北朝鮮

007とかこういう単純アクション映画の敵って、むかしはソビエト連邦、それからはアラブ人だったけど、今作では北朝鮮になっている。「悪い奴ら/国」のネタがなくなってきたので、新しい方向へ探索をはじめてみたというところか。(もっとも、北朝鮮が悪い… ではなくて、北朝鮮に悪い奴がおりまして…という設定)

北朝鮮の政治とか方針がいいとか悪いとかそういうことは今ここではどうでもよくて、ビジュアル的に、映画的にキマルかどうかを考えると、これがけっこういいかんじ。

北朝鮮による世界支配の夢を実行に移しながらも、西側文化に染まって腐敗堕落した、将軍の息子の悪玉ザオ、倉庫にピカピカのフェラーリとかランボルギーニ、のナンバーが全部ハングル表記、のところとかなかなかカッコいい。北朝鮮かっこいいな。なんかOACすこやかインターネットみたいだ。

自動車

ゼロゼロセブン映画にはボンドカーがつきものだが、ここ数年の 007 映画は登場する自動車は全部 BMW だらけ、筋違いで見苦しいことこの上なかった。007 は、英国の男が、英国の秘密組織や英国の自動車という「斜陽系」な背景をもとに世界の悪い奴と世界の女を相手にするという構図がミソなのだが、そのあたりがまったくわかっていない。ボンドは麻薬組織やテロリストを相手にするよりも、ミュンヘンに潜入して BMW 本社を破壊すべきだった。BMW 本社ビル、あの4本の大きな筒を束ねた形の未来的な巨大建造物は、「007 のわるいやつのいるところ」の条件と貫禄を充分に備えているから、画としても OK なはずだ。

今作ではそれがなくなり、とうとうアストンマーティンが復活した。チャップリンに山高帽子とステッキが、水戸黄門に印籠が必要なように、アストンマーティンに乗ってないボンドというのははなはだ心もとないので、まずは慶賀すべき。
で、ボンドのアストンマーティン・ヴァンキッシュのほかに活躍する「たかそうな車」というと、ジャガーのオープン、ボンド・ガールが乗ってくるフォード・サンダーバードあたり。

で、ジャガーやアストンマーティンというメーカーは、いまはフォードの子会社で、フォード・グループの PAG (Premium Automobile Group) に属する、高級ブランド路線を担当していく「事業部」であることに注意されたい。かっこいい自動車がいっぱい出てくるなぁと思っても、結局全部フォード・グループの宣伝となっている。

ちなみにヴィン・ディーゼルの「トリプルX」の続編では、デビュー直前のマツダ RX-8 が出まくり走りまくりで、マツダもフォード・グループの「アジアの優秀な設計図書き会社 & スポーツ・イメージ」を担っている「事業部」だ。
最近フォードは映画露出に力を入れているなぁと思ったら、007 が BMW マンセー映画だったころの、BMW のメディアまわりの PR プロデューサーがフォードに移籍したらしくて、ここで全部が納得できた。というか裏で手を回しているのは結局同じヤシということか (わら
彼が出ていって以来の BMW の映画方面への動きは、BMW をテーマにした小さい尺の映画をミニシアターとかインターネットで流すという、なかなかシブイ方法に変わったようだ。実際なかなか渋いので時間あらばどうぞ。http://www.bmwfilms.com/