西海岸のとあるITベンチャーの経営陣たちがどうもうまくまとまっていない。そんなところに着任した、経験豊かなCEO。彼女はチームをどうまとめていくか。そんなフィクションと、まとめの最終章から成る一冊。
紆余曲折やカタルシスもあるビジネス・ストーリーとして大変読みやすく、あっという間に読めてしまう。どうしても時間がない場合は最後の章だけ読むのもいいだろう。個人的にはこのへんがなるほどポイント。
- (マネジメントは) なるべく良いチームを作ることが仕事。個人個人のスポーツキャリアを世話することじゃない
- 人を育てるのも大事だが、人を入れ替える、人を切るのも大事
- チームワークというとスポーツが出てくる理由は、得点。つまりKPI/KGIを持つチームワークだから。
- 政治的とは、自分が本当にどう考えるかではなく、他の人にどう反応して欲しいかによって、言葉や行動を選ぶこと
とはいえ、雇用も転職も、なんといっても馘首にも自由度がある米国でのお話であること。次に、チームビルディングする対象が経営陣たちであること。つまり、良くも悪くもある程度の質を持っている人たちを部下に構えたケース。ここは割り引いて読まないといけないね。
この本にある「機能不全のモデル」の分解。
- 1. 信頼の欠如
- 病状: 完全無欠であろうとする。弱みや間違いを見せようとしない
- 弱みを見せられる信頼は簡単には築けない
- どうするか
- 個人のプロファイルについて語る。兄弟姉妹の人数、出身、子供時代の習い事、趣味、最初の仕事、これまでの最悪の仕事
- チームの有効性に関する演習。ひとりずつ、最もチームに貢献している点、チームのために改善したり抑えたほうがいい点を1つずつあげる。
- マイヤーズ・ブリッグズ性格類型指標(MBTI): おれは ENTP (外向-直観-思考-知覚的態度) らしいんだよねー
- 360度評価: 実際の評価や報酬と切り離さないとアブナイ。うんうん。
- リーダーの役割は率先して弱みを見せること。弱さが罰されない(信頼が失われない)チームを作ること。弱さを演出しないこと。
- 2. 衝突への恐怖
- 病状: 表面的な調和。腹を割れない。曖昧な話、慎重な発言が多くなる。
- 前向きな衝突は常に必要。時間の節約でもある。
- 意見の相違に客観的に光を当てる。意見の衝突は大事なことなのだと念を押す。
- トーマス・キルマン衝突モデル法(TKI): 調和的で平穏な協力的集団は停滞しがちであるので、効果的にコンフリクトを起こす必要がある
- 3. 責任感の不足
- 病状: あいまいな態度。決定を支持できない。責任感を持てない。
- 全員一致は求めない。確実性も求めない。
- 全員の意見をきちんと考慮し検討することで、合意は無くとも支持が得られる。
- カスケード式伝達: 決定事項を最後に見直し、何を伝えるかを決める。
- 期限を決める。中間決定の期限も決める。その決定の結果の最悪ケースをまず明確にする。そうすれば決定の間違いも怖くなくなる。
- リーダーは、議論を促し、スケジュールを守らせ、決定が間違っていても動じないこと。
- 4. 説明責任の回避
- 病状: 基準の低さ。行動や態度を咎められない。
- 目標と基準を公表する
- 簡単な定期進捗レビュー
- 5. 結果への無関心
- 病状: 地位や自尊心や自分の部署を優先してしまう。
すぐ読めておすすめの一冊。