New Order来日 (新木場STUDIO COAST)

29年ぶりのNew Order単独来日。もちろん行ってきた。

 

29年前のFM東京主催の来日は、なぜか見切ってしまった。
当時はライブ・バンドとしてのNew Orderにはそれほど魅力を感じていなくて、加えてあの唄と演奏のヘタクソさが、金を払って足を運んで見るべきものかどうか… という迷いだった。

だが、のちにFMで当日のライブ収録を聴いて、想像以上のバーニーの唄のヘタクソさ、そしてアンコールが終わり客電もついてオーディエンスが帰り始めたころ「どうも納得いかない」と再度ステージにあがり大混乱となったという伝説の公演。その一部になれなかった後悔はその後も続いていた。

なにしろ「もうやめろ」とオフィシャルやスタッフから制止されての公演終了だったらしい。のちの 'Crystal' のプロモビデオを地で行く騒動だったようだ。

 

新木場のSTUDIO COAST.

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当日のDJは石野卓球。開演時刻から数えても1時間ほど演ってた。

「そろそろ始まるかな…」ぐらいのタイミングに「あの16分バスドラ」をぶつけてきて、一瞬大歓声でアガるオーディエンス。

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えっここで本歌取り?… いやそれは… 卓球だから何か企んでるのでは… たぶんこれはアレではなくてきっと… と思っていたら、案の定Blue MondayではなくてDivineのLove Reactionだった。素人かどうかが、試される流れ。

バーニー自身も、すごくノリがいいときは自分たちのライブのBlue Mondayで 'Love reaction♪' とか歌うぐらいだから失礼にはあたらないだろう。そんなこんなのセンスよく時に下品な感じで、20:00ごろまで卓球が回していた。

 

1曲目はSingularity. 今回はMusic Complete Tourと銘打たれているので、最新アルバムMusic Completeからのナンバーと、古めの曲と交互に演奏する流れだった。

ギリアンが復帰しているのもすごくうれしい! もうすっかり、堂々たるオバサンだが!

あと、スティーブがシンバルに隠れて全然顔が見えない!

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最新アルバムはMute移籍! ケミブラ参加! と大期待してたのけど、聴いてみたらつまらなくて、途中でギブアップ。結局全曲通しで聴くことがいまだにできていなくて、曲名と曲は一致しない。でも体力的に、アガる古めの曲と、どうでもいい最新アルバム曲とが交互にきて、休憩が挟めるので便利w Apple Watchをしているので、フロアの前列殺到オーディエンスの中でもメールなどチェックできていい。

セトリはこんな感じ。

やっぱりRegretとかあがる。会場は20代はあまりいなそうで、30代から40代がメインかな。全員、のどが涸れるまで、乳酸が出尽くすまで、声と体がとまらない。Crystalはキター感が高すぎて気絶。「ちょっと古い曲なんだけど…」と1963で号泣。

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そして、Temptationはそんなに好きな曲ではなかったんだけど、ライブではすごくいいってことがわかった。演奏がというより、オーディエンスが参加できる一体感がすごい。うーううううー、up, down, turn around, please don't let me hit the ground, tonight I think I'll walk alone and I'll find my soul as I go homeと数千人で朝まで飛び跳ねて絶叫していたい感。

アンコールはお約束のBlue Mondayと、そしてLove Will Tear Us Apart.

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うぉぉ

でもって、サビ前になると JOY DIVISION FOREVER とか出るんだもん。ちょっとエグすぎかな、でもいいや、

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うぉー

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みごとにコンテンツになったね! イアン!

 

というわけで、思ったよりもすごく楽しめる「興行」だった。

残念なところがあるとすれば、ベーシストにほとんど光があたっていなかったこと。

たしかに、フッキーのいないニュー・オーダーは寂しい。きょうの演奏曲でも、Crystalのサビ後で、そしてPerfect Kissのサビメロで、そしてエンディングで、フッキーのあの、高音部でメロディーやリフを奏でる「テンテテ節」が聴けないのはとても寂しかった。

でも、仮に演奏しているのがフッキーじゃないとしても、サビメロ的なもののかなりの多くを実はベースで演奏しているという (逆にフィンガリング・ベースに聴こえるものがバーニーのギターだったり)、ニュー・オーダーの極めてユニークな特徴のひとつに光が当たらないのは残念なことだ。フッキー亡き後のベーシスト、トム・チャップマンには、仮にステージ前方に出てきたときにでさえ (おまけに、サビメロを弾いてるときでさえ!) スポット類が当たらない。ここにフッキーがいたらなぁという想いは誰にも負けないが、でも頑張っているトムと、このニュー・オーダー独自のアーキテクチャを前に出さなくてどうするんだ。残念。

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バーニーはかなり歌が上手になっていた。どういうメロディを歌っているのか、明瞭にわかるw でもWaiting For The Sirens Callあたりだとまだあやふやで、やっぱり、出たばっかりの、まだ10年ぐらいしか歌いつけてないウタは、まだ上手には歌えないんだなー、と、ライブ終わって飯を食いにいった、同じく30年以上New Orderを聞いてる仲間数名と意見が一致した。

ともあれ、バーニーは「自分のヴォーカルもいまいちだが、それでもバーニーよりは絶対にうまいはず」という自信を誰にでも持たせてくれた素晴らしい人だ。

それに加えて、もうひとつ素晴らしさに気づいた。
今回彼が着ていたのは横にNEW ORDER、縦にニューオーダーと(カタカナで)書かれたTだったんだけど、「あっ、あれいいな欲しい!」「でも俺が着ても似合わなそうだな…」と思った。

しかし! 昔はハンサムで痩せていた彼の、いまの堂々たる体型はどうだ! 完全に、デブの、面倒くさそうなジジイである。そんなバーニーが、ギターなしでふらふら踊ったりしている。「自分の体型もかなりダメだが、バーニーよりはましなはず」という気持ちも持てて、家路についた。