とにかくフレームワークてんこ盛りの本。
Kindleなら「戦略決定フレームワーク45」は742円、「問題解決フレームワーク44」は599円と安いので、手元(クラウドに、だけどね)に置いておいて損はない。
それぞれ戦略と問題解決(戦術)に視野を置きかえた、編曲やリミックスだけが違う2枚のアルバムのようなものだから、重複もある。「問題解決…」のほうだけでもいいかも。
内容はお馴染み、マッキンゼーの7S, SWOT, PEST, PMマトリクス, なつかしのAIDMA, あるいは固定費vs変動費, などなど、フレームワークという「お仕事の整理の決め事」のお徳用詰め合わせです。ぜひ新卒のみなさんに。
といいつつ、ECRSというフレームワークは初耳で勉強になった。
「しょうもないルーチンワークや、かったるい業務、これなんとかならんの?」
(しかも、往々にしてこの手のものは、くそまじめな人たちが「決まっていることなんだから」と、大事に日々がんばって遂行してくれていたりするから始末が悪い)
みたいな課題をやっつけるときに使える。
- E (Eliminate) = やめちゃう
- C (Combine) = 統合する
- R (Replace) = 置き換える
- S (Simplify) = 簡素化する
例えば「マンションの各棟で回覧板を回す」みたいな典型的なしょうもない課題に対して、以下のように改善ツッコミができる。
- E: そもそも回覧板って要るの? やめちゃえば?
- C: 棟ごととか言わないで全部で一冊にしちゃえば?
- R: 業者に外注できない? 管理会社に振っちゃえない? あるいは居住者とつながりたがってる商売人にやらせてもいーじゃん?
- S: 年1回の発行でよくね? Webに載せてスマホで見ればいいじゃん?
重要なのが、優先順位は必ずE, C, R, Sの順である。ということだ。S (Simplify, 簡素化) は最後。これは本当にそうで、「そもそも、やんないでよくね?」ということが世の中には満ち溢れているのだが、そこを忘れて、ついうっかり「この工夫で改善できる!」とSの部分ばかり着目して、上の回覧板の例えでいうと、夜中にしこしこwordpressとか設定して「これで楽で便利になる!」とか喜んでいたりする。こんなのはダメだ。下手すると仕事の負債が却って増えてしまう。
というわけで、ドキドキワクワクの一冊(二冊)というほどでもないが、一種のチートシート的に、あっても損はない感じでした。