予備校なんてぶっ潰そうぜ。/ 花房 孟胤

この本は出版予定となったときから予約していて、ずっと手元にあったのだが、うっかり後回しにしていた。

思っていたのとかなり違う読後感。
中身の詰まった小説を読みきったあとのような読後感。
そう。いわゆるビジネス本とかスタートアップ本ではなくて、私小説です。

雰囲気としては、Linus Torvaldsの「それがぼくには楽しかったから」(Just for Fun) に似ている。あの本はひとりの大学生がLinuxを創り出すまでの悩みや喜び、あるいは恋愛や初体験まで書いてあるが、それと同じぐらい、この本も文字で自分に向き合っている。しかも、ときに痛く切ない。青春というと安っぽいラベリングでごめんだけど、まごうことなき私小説でした。

著者、かつmanaveeを創出した花房さんは、僕らが定期的にやっている、学生向けセキュリティCTFイベントScrap Challengeに、2013年1月に参加してくれている。そのときも、懇親会の途中ですみませんサーバの様子がとPCを開いてメンテナンス作業をしていたのを(後になって)思い出す。

しばらく時がながれて、coconala未来会議「教育ビジネスの未来」というイベントを会社で開催し、会場提供など遂行をやっていたとき、「森本さん?」と声をかけられた。それが、NPOのかたちをとって、manavee代表としてパネルディスカッションに出演してくれていた花房さんだった。
最初「えっ?」とびっくりし、一瞬の間をおいて、Scrap Challengeで合間を縫ってサーバメンテしていた、あの学生さんとの認識がつながった(ごめんなさい)。

manaveeはいまも動き続けている。
サイトとしても、団体としても。「生徒の卒業文集コーナー」なんてものもできていた。

manaveeがいつか何かをdisruptするのか。
それはわからないけれど、これからも楽しみだ。月並みなワーディングでごめんだけど、がんばってください。