Movement / New Order

相手をえらんで、必聴盤。
ご存知のとおり、ついにUSツアーに出るという前日にヴォーカルのIan Curtisが首を吊って自殺して、残されたメンバーで結成されたのがNew Order.の、ファースト・アルバム。

1曲めのDreams Never Endは、どうしちゃったんだろうというぐらい明るい。ヴォーカルはなんとフッキー。バーナードのギターもからりと爽やか。The Cure の名曲 In Between Days はこの曲をレスペクトして書いたものですとRobert Smith が語っていたぐらい。 (ということは、In Between Days のアンサーソングとかいっている Friday I'm In Loveは Dreams Never End の孫にあたる曲なのだろう)

さて。1曲目はあかるくて分かりやすかった。問題はそこから。2曲め Truth は、やや白日に差す非日常の陰鬱という雰囲気が増してくる。イントロからPeter Hookのベースのリフに、冬の外気のように刺す冷たいシンセ、まさに Joy Division の亡霊がふらふらと立ち上がってくる。
地味だけどシュールな音の構成は、まさにMartin Hannettの仕事そのもの。コード2つしかないし。しかしこの、延々とやってる感じが、実によい。次の Senses も、次第に構成がこわれてきて延々としてきてよい。

というか、基本的に「AメロBメロサビAメロBメロ大サビうんぬん」みたいな商業的曲構成なんかくそくらえファックという、その根性がマーティン・ハネットのプロデュースと相まって、実に良い。万人にはおすすめできないが、相手を選んで通ってほしい、愛想も良くないが食べなれるとたまらない煮込みの店とかそういう感じだろうか。