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ラブホテル進化論 / 金 益見

book

日本独自の文化らしいラブホテルについて調べてまとめた本。まじめかつ面白くまとめてある一冊。

いろいろ面白かった。

ラブホテル進化論 (文春新書)

ラブホテル進化論 (文春新書)

 

渋谷の円山町にラブホテルが多いのは、ダム建設で村が水没した岐阜は白川村のひとたちが、上京して渋谷近辺で四畳半旅館を営み始めたのが起源。いまでも名前に川のつくホテルが円山町に多いのはその名残。

僕は自動車で(ときに一人で)どんどん旅行するのが好きなのだけど、「クルマでぱっと入って、寝るだけ寝れる」という、本来の「モーテル」が日本にはないなあと思ったら,法で規制されているのか。ワンルーム・ワンガレージ式のモーテルは禁止されているのだそうだ。自動車旅行者からするととても便利なんですがね。

ただ、いちおうホテルとしての敷地があり、受付があって、その上で敷地内にワンルーム・ワンガレージ式の建物が並んでいるぶんにはいいらしい(僕もこの手のなら覚えている - ラブホテル利用のほうにおいて)。

著者はまだ若い可愛い女性で、大学の卒論として研究を始めたようだ。のびのびと書いていてなかなか良い。(ちょっとヘタウマなイラストも彼女自筆)

1979年うまれらしく、僕のひとまわり下になる。ラブホテルのネーミングスキームについて考察しているあたりで、80年代後期から90年代ぐらいにかけて、やたら西暦な名前(1987とかHotel 1992とか)が頻出した一時期がこの本では触れられていないのだが、ちょうど世代の違いで、ぽっかり抜けてしまったのかな?と思った。それとも東京だけの現象だったのかな?

風営法が発足したのが1985年なので、それに伴い違法となり廃止された、大昔のラブホテルの象徴であった「回転ベッド」は、残念ながら1967年生まれの僕は現物をみたことがない。

ほかにも、ホテルとしてはフロントでの人間の介在が法的には必要なので、自動支払機の存在はとりようによってはグレーなこと。僕の年代だと、終わりごろに電話をかけ・かかってきてフロントで清算、がまだおおく、
(あっさっき終わりました! とかいっちゃうんだよね)
部屋の写真とかボタンが一緒で押すとキーが出てくるタイプのはまだ半分ぐらいだったかな。たしかにエアー・シューターもいくつかみかけたが、ボタンをおしても気配がせず、そしたらオバサンがすいません壊れてましてねとピンポンしてやってくるのもありがちなパターンだったかも。ばあさんが四畳半に布団を敷きにくるしょうもないクラシックなやつも滋味深くてなつかしい。

ワンルーム・ワンガレージのタイプも日本の田舎ドライブの風物だけど、一度、消灯後に空気が霧のようになまぐさくなり、室内の音や鏡などがなにかヘンで、霊感などまったくない私でも「これは室内に絶対何かいる」と100%確信をもったことがあり、それ以来いい印象がない。

逆に「これからのラブホテル」像もおもしろい。景色や食事や、海をみながらふたりでゆったりお風呂とか、ゲームとか、もちろんセックスもするだろうけど、ふたりでたのしい時間をすごすもろもろのアメニティをたのしむ場所という位置づけはたのしそうだし、いってきた若い子が、きょうはここ行ってきました!と、PCブログとかケータイブログとか、はたまたmixiとかからトラックバックやブックマークして盛り上がるとか、そういう方向もすごくたのしそうだ。(はいはいリア充ですね)

そんなこんなで、ぱっと読めるのでひまつぶしにもおすすめ。