童夢 / 大友克洋

僕は子供のころから大学生ぐらいまでマンガが嫌いで、アニメも歌謡曲も、一般大衆娯楽コンテンツと目されるものが嫌いだった。特に「子供向け」のものが嫌で、だからウルトラマンも仮面ライダーも、世代的にはど真ん中だが、リアルタイムでは一秒も見たことはない。(イヤらしいもので、とはいえ見ておかないと将来ネタに困るのはあるかなあ、とは思っていた)

一度だけ、気のまぐれか洒落か、父親が少年漫画雑誌を買ってきてくれたことがあったが、嫌で嫌で、結局全ページをびりびりにして捨ててしまった。
まあ「中二病」が早く発現したといえばそうですね。

ただ、モノのわかっている作家、表現者なら当然マンガの素晴らしさは判っているわけで、そういったひとたちの主張や著作に触れ、まずは試しと読んだのがこの作品。 

童夢 (アクションコミックス)

童夢 (アクションコミックス)

 

世界がひっくりかえった。それまでの不明を恥じた。

というか、こんな凄いのが初体験というのはインパクトが強すぎる。初めて見た映画が「七人の侍」みたいなもんだ。
僕が当時持っていたのは、たまたま古本屋でみつけた初版本で、割と大事にしていたのだがいつしか紛失してしまった。先日とっさに再読したくなり、20年ぶりぐらいに取り寄せた。

この本の舞台は大規模団地だが、人間が一定以上規律を保って並んだり動いたり生活したりというのは僕にはちょっと気持ち悪くて、もともと生理的にだめだ。
僕が住んでいる練馬区には、戦時中は陸軍の戦闘機基地で、その後米軍に接収され、いまは団地都市になっているところがあるのだが、この本を読んで以来、さらに苦手になってしまった。ときおり買い物には行くんですけどね。