外注される戦争-民間軍事会社の正体 / 菅原 出

「民間委託」の流れはいまや軍事の分野にも及んでいる。2003年にはじまったイラク戦争で米軍の「影の同盟者」ともいうべき役割を果たしているのが民間軍事会社(プライベート・ミリタリー・カンパニー=PMC)と呼ばれる企業だ。日本では、元自衛隊員の斎藤昭彦氏がイラク武装勢力に襲撃された事件で同氏が所属していたPMCが注目された。

戦闘地域での物流、捕虜の尋問、メディア対策、果ては戦闘行為まで、多岐に渡る「サービス」を提供し、イラクでは一国の軍隊と同規模の人員を一社で派遣している例まであるという。いまや米軍の作戦行動はこのPMCなしには遂行できない状況なのだ。にわかに注目されることになった新ビジネスの実態を企業側、そして最大の顧客である米軍関係者に取材した刺激的なノンフィクション。

育った家庭もあるのか、官・公ではなく民がすべてだぐらいに思っているので、非常に興味深い。メリット・デメリットとも透明に取り上げている。とてもおもしろく読んだ。 

外注される戦争―民間軍事会社の正体

外注される戦争―民間軍事会社の正体

 

現状認識と、ニーズと、ソリューション。の本なので、そうじゃなくて、「私企業と政府がグルになって戦争をやっているなんて! ああ恐ろしい、キー」みたいなものを求めて読みたい場合にはまったく向かない。そういう場合は、駅のホームで朝日新聞でも拾って読むとよいだろう。