Aliens Ate My Buick / Thomas Dolby

ヒットしたテクノポップ「彼女はサイエンス」(彼ってこの曲の一発屋みたいに認識されているのかも)とかの次の動きあたりに出たアルバム。モロにオバカさんポップ・アルバム。もちろん計算ずくなんだけど。その計算ずくが透けてみえたりするあたりもかわいい。なにしろ「エイリアンがボクのビュイック食べちゃった」だから。

一曲目のThe Key To Her Ferrariは、エンディングにBecause aliens ate my buick.. とつぶやきが入るぐらいで、アルバムの主題みたいな曲。軽薄なブラス、間奏でフェラーリのシフトアップの擬音をノリノリで入れるギタリスト、まさにアホ一直線ですばらしい。ほか、バブルガムなポップ、ファンクっぽいナンバー、ミドルテンポの、昔のポップなトーキング・ヘッズを髣髴とさせるような曲、メロウなBudapest By Blimpなど、いろんな曲がカラフルに並ぶんだけど、どうもこのへんがこの人の欠点というか、「器用貧乏」というやつで、どういう音楽が看板というかノレンなのかどうもはっきりしないのが難点だ。

このあとThomas Dolbyは、いまでいうと音楽再生に特化したFlashみたいな、Beatnikというブラウザのプラグインを開発するインターネット・ベンチャーを起業してCEOになって、僕もNetscape Navigator 2.0あたりで試した記憶があるけど、その後どうなったのやら。