Lancia Musa

Lancia Musa

ひさびさに ENGINE 誌を読んでいたら取り上げられていたクルマ。
http://www.lanciamusa.it/

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フィアット・プントに味付けしたもののようだが、イプシロン (Ypsilon) に比べて親しみやすいテイストだ。つまり日々銀座や六本木で密かに気を張る29歳のキャリアウーマン、というほどまでのこともなく、生活と育ちのよい楽しい生活、という感じで、なかなかよさげだ。イタリアのエッチなデザインの素晴らしさというよりも、イタリアのキッチンウェアとかコモディティのデザインの楽しさの方向にみえる。DIESELとかALESSIとかね。
大きなグラスルーフが気持ち良さそうだし、オートマもあり、あと幅が1.7mに収まっていて、いまどきちゃんと5ナンバーで乗れるというのがなかなかすばらしい。

どこかがちゃんと国内に引いてくればそこそこ売れそうな気もするのだが、難しいかなぁ。http://www.lancia.com/を見ても、そもそもランチアというブランドは、日本はおろか、そもそも英語圏で売ってねえ。という厳しい状況だ。

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二十歳過ぎのころ、一箇月ぐらいLancia Y10を足に使っていたので、うるさくて回らないが元気なFIREエンジン、ぐにゃぐにゃシフトレバー、案外剛性感のあるボデー、いたずらっぽく楽しくデザインされたコンソール、そして室内のアルカンタラの、あの甘い匂いと雰囲気がなつかしくてたまらない。

ちなみにENGINE誌は、ご存知のとおり「カーグラフィック」の弟のような位置づけにあった二玄社の自動車雑誌「NAVI」、その鈴木編集長はじめ腹心たちが突然新潮社にスピンアウトして生まれた雑誌で、ある意味いまだに「真のNAVI」だが、鈴木編集長がかもしだす、生まれも育ちもよい自分を恥じて、理屈的にも文学的にもサヨ傾倒してしまう自分、でも贅沢の味やノブレス・オブリージュも知ってしまっている自分、その矛盾のせめぎあい、みたいなテイストは伝統芸能のごとくいまだにかわらず、こういった雰囲気は、私立校あがりの自分には、いとおしく懐かしくも痛く、なつかしく、そしてイタイ。