鉄道廃墟 ヴィークル・グラフィック / 丸田 祥三

著者はカメラマン。廃線跡を撮りためた写真集。というか随筆集に近いところもある。散文ではあるが詩のような味わいもある。

作者は1964年生まれ。戦争を知っていた親たちの世代と、それに関する戦争の話のタブーが暮らしのどこかに基礎通音としていつもかすかに聴こえていた、ぼくら? 60年代うまれの、軽薄だけれどどこか重く暗い、そんなガロ的、つげ義春的、微サヨな雰囲気が、すばらしい画と相俟って、胸にずんと迫る。

文庫版もあるようだ。うえのぼくの感想にぴんと来る方ならおすすめ。