Macintosh 20周年

Bill Atkinson

Bill Atkinsonが今は自然写真家で、というかもともと自然写真家だった、ということをはじめて知る。

Bill Atkinsonを知らない人がいるとは思えないが、初代128k Macintoshの68000アセンブラ64K ROMに含まれたオリジナルQuickDraw、あとMacPaint, そしてHyperCardの作者だ。

せいぜいPC-8801でXOR描画だの、割り込み禁止にしてからスタックポインタをVRAM末尾にして16ビットレジスタでpushすると一番グラフィック画面消去が早い、程度の世界までしか見えていなかった高校生の僕にとって、1984年に、はじめて銀座オムロンショールームで128k Macintosh,その上にある環境、そしてMacPaintを見たときの衝撃は一生を変えるには充分*1だった。

HyperCardも世界を変えたソフトウェアだった。いま言葉にすればオブジェクト指向とかイベントドリブンといったことを生まれてはじめて体験できたのがこれだ。今であれば、たとえばVisualBasic環境のスイートなエッセンスだけを取り出したもの、などと例えることができるのかもしれないが、十数年まえにHyperCardに出会えた人間たちにとっては、HyperCardを何かに例えるという行為そのものが無意味だ。

コンピュータ技術におけるAtkinsonの業績と存在は、ロックの歴史におけるJohn Lennonぐらいの重みがある。
でもそれは、Atkinsonにすれば、若かったころのちょっとしたほんの余技だったということか。感動で全身から鳥肌が引かなくて困った。


*1:あの噂の新製品「マッキントッシュ」が置いてあったので、すこし立ち止まって、触ってみた。ぐらいのつもりだったのだが、あっという間に8時間が過ぎていた