多摩六都科学館

多摩六都科学館

きょうは天気がいい。奥さんはスーツを買いに出かけたので、息子と娘を連れて多摩六都科学館にいく。「このくるまは、たぶんみんなには今日でお別れだね」ということで、車で行った。場所はいわゆる田無タワーの付け根だ。プラネタリウム + IMAX シアター付き。

中身は、幼稚園から小学校のこどもを連れていくにはちょうどいいかんじ。逆にいうと、それ以上はちょっとつらいかな。内容そのものは中学レベルまでのものがあるけど、品質がいまいちだったのだ。きれいな建物ではあるんだけどね。まえに行った横浜こども科学館と比べると、展示物はほとんど似たようなもので、しかし田無のは不景気なときにつくっただけあって比較すると予算がなかったんだなー。という印象。

サー・アーネスト・シャックルトン

子供たちとみたプラネタリウムというか全天周映像 (IMAX ムービー)は、アニメ仕掛けでブラックホールの謎をさぐるという、娘とおれは爆睡してしまった作品。ただ日時によってはもう一本、アーネスト・シャックルトンの南極探検の記録映画もかかっているようだ。ヒマだったらちょっと見てみたいかも。「北極・南極ネタ」は、全天周映画つか IMAX モノでネタに詰まったときの定番企画なので、大はずしの可能性も高いが。

シャックルトンというと、探検家というよりも、求人コピーの金字塔として有名? レスペクトをもっている。求人の文言を書かなきゃなー というときには、いままでいつも、反射的にシャックルトン卿のことを思い出してしまう(ついこないだも微妙にそういうニュアンスの求人コピーを書いたばかりだ)。

天野祐吉「もっと面白い廣告」から無断引用してみる。これ、面白い本なので、機会があれば入手おすすめ。

一九〇〇年のある朝、ロンドンの新聞の片隅に、南極探検隊員募集の小さな広告がのった。

「求む男子。至難の旅。僅かな報酬。極寒。暗黒の長い日々。絶えざる危険。生還の保証なし。成功の暁には名誉と称賛を得る。- アーネスト・シャックルトン」

たぶん、探検家のシャックルトン卿が、自分で書いたコピーだろう。名詞どめのプツプツ切れた文章の切れ目から、南極の闇が、凍てつくような寒さが、ソクソクと伝わってくる。これが、「キミも南極探検の旅に青春を賭けてみないか!」なんていうコピーだったら、決してこうはいかなかったろう。記録によると、この小さな求人広告は大きな反響を生み、一日中、新聞社に問い合わせが殺到したという。

この広告でとくに泣かせるのは、「僅かな報酬」というところである。やたらキビシイ労働条件を並べておいて「僅かな報酬」というのだから、よく考えると、ひどい話だ。が、もっとよく考えてみると、庶民が得られる報酬なんて、どうせタカが知れている。いまだって「僅かな報酬」で働いているんだから、それならもっとヒロイックで、「成功の暁には名誉と称賛を得る」ような仕事のほうがずっといいじゃないか。人びとのそんな思いを、この広告は巧みにくすぐっているところがあるように思う。

「カネで釣るより興味で釣れ」

思うにこれが、昔も今も求人広告の基本法則である。「興味はカネしかない」という人にはこの法則は通じないが、ま、そういう人は採用してもあまり役に立たないことが多いから、法則が通じなくても一向にかまわないのだ。

原文は

MEN WANTED for Hazardous Journey.Small wages, bitter cold, long months of complete darkness, constant danger,safe return doubtful. Honor and recognition in case of success - Ernest Shackleton.

この本をおれが買ったのは、かれこれ 20 年ちかくむかしのようだ。おれも年をとったものだ。